2016年4月18日月曜日
欲望・墓場・極楽の三題噺
映画を映画館で見る時代は終わった。
SFXに始まり、3Dとか4Dに至り、ケレン味も極まれり(苦笑)
いまんところ、技術の使いこなしが子供じみていまして、オトナの共感とは縁遠い。
これからは何事も「シルバー」がトレンドと消費の主役であるが、はっきり言えば「ズレて」ます。
すくなくとも「芸術」の端くれとして、おさえるべきポイントにフォーカスを当てた作品でないと先は寒い。
有り体に言えば、古典性と前衛性。
その点、舞台のほうがまだしも先鋭かもしれない。
ロンドンのヤングヴィックシアター。
足を運ぶにはちょっと遠いし、チケットがとれるかどうか・・・なんちゃって能舞台程度の収容力
嬉しい事に「ナショナル・シアターライブ」ってことで、断続的に話題作がシネコンにかかります。
アーサー・ミラーの「橋からの眺め」
テネシー・ウィリアムズの「欲望という名の電車」
現代劇の古典がなんとも斬新に演じられるのです。
あの寓話的な書き出し(すべて実在ってところが凄いのです)が・・・・・
「欲望」という名の電車に乗って
「墓場」という駅で乗り換えて、6つ目の角で降りたら
「極楽」という街に着く。
サザンベル(南部大農園の貴婦人あるいは令嬢)であったブランチが妹を頼ってノラにやってくる。
ブロードウェイ初演の際には、
ブランチ・デュボア - ジェシカ・タンディ
スタンリー・コワルスキー - マーロン・ブランド
ステラ・コワルスキー - キム・ハンター
ハロルド・ミッチェル - カール・マルデン
映画化された際には、ヒロインだけはビビアン・リーに変更されたが、
これは、地味なジェシカでは客入りがってことでなく、ロンドン公演ではビビアンが舞台をつとめていたし、
リーは元々が舞台役者
それに、代表的なサザンベル=スカーレット・オハラの相似形イメージもある。
スカーレットは誇り高いリアリスト。
落ちぶれたという認識があるが、弱みは見せない。
精一杯の虚勢を張る。
廃墟化したタラの大邸宅のゴージャスなカーテンをドレスに仕立て直して、堂々と振る舞う。
一方で、ブランチは誇り高いがロマンチスト
立ち居振る舞いが地につかず、周囲と空回りをする。
作品は
舞台的にも映画的にも大成功!
その年(1951年)のオスカー賞は「総取り」でもよかったんですがねえ(笑)
作品賞(ノミネート) → 巴里のアメリカ人
監督賞(同上) → G・スチーブンスン(陽の当たる場所)
主演女優賞(受賞)
主演男優賞(ノミネート)→ ハンフリーボカート(アフリカの女王)
助演男優賞(受賞)
助演女優賞(受賞)
今回は、なんとXファイルのダナ・スカリー捜査官がブランチをやります。
彼女ってただのTVアクトレスじゃなかったんだ。
ムービーアクトレスとして最近は顔を見ないと思っていましたが、こんなところで頑張っているんだ。
元々、演劇少女だったみたいですし、なんとも言えないほとんど聞き取れない・・・南部訛りでしょうか・・・
渾身狂乱の熱演ってこういうことをいうんでしょうねえ。
成功する舞台とは「虚実皮膜の間」っていうのが近松の演劇論
そういえば、このシアターは舞台と客席の区分がない等しい。
虚の世界と実の観客という存在が渾然一体となる。
因みに、ケイト・ブランシェットがオスカーを取ったこの作品は、オリジナルにインスパイヤーされたものというのが
大方の見方です。
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