2017年10月26日木曜日

野良犬




あの頃の司法警察職員(所謂サッカン)は、皆さん真面目で愚直だったかどうかはともかく
そういう風に描かれます。

復員兵の一人(木村功)は全財産が入ったリュックを奪われ、悪のダークサイドへ
今一人(三船敏郎)踏みとどまり、警視庁の刑事になった。
拳銃をスられた刑事は先輩デカ長(志村喬)と野良犬のように犯人を追い求める....

黒澤明の初期の作品が4Kでブラッシュアップされてスクリーンで
鑑賞出来るのは至福である。
もっとも、懐かしの名画座風でじいさんばあさんばかりだ。
何年ぶりだか記憶にもないし、細部は殆ど忘れている。
淡路恵子のデビュー作品だとは今更ながらに気がついた(^^)
まだ「戦後」だった東京は、貧しくてざわついて変な活気がある。
扇風機しかない夏なのですが、上着を手放さない倭人の律儀さ。
結構今となっては違和感ある描写があるが、白黒映画の映像美としては
かえって相応しく瑞々しい。


一連の日本映画の至宝とも言うべき黒沢映画群ですが、いつまで著作権が
継続するのかしら?また、権利者は誰かしら?
早くパブリックドメインになり、気軽に鑑賞出来るようになればいいなあ〜
と思う反面、リスペクトの観点から権利終結の時期を遅らせても....
とかなんとか心は乱れる。


著作権法は難解でなかんずく映画に関しては複雑怪奇。
生半可な知識で取り扱えば、あの黒沢映画DVDの廉価版の
販売差し止め事件のような事になる。

まず映画の著作物の著作者は単純ではない。
条文を抜粋すれば「演出、撮影、美術等を担当して
その映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者」だとされる。
従って「監督」である場合もあり得るが、多くは「製作者」である。
つまり映画単位に創造のプロセスを吟味評価しないと
間違った解釈になる。
黒沢映画群に関してはナンチャッテ「黒沢天皇」ですから、
全体的形成に創作的に寄与したのは黒澤明氏だと東京地裁は
判断しています(但し正確には係争の対象だけ)
そして、黒澤明氏から映画製作会社が権利を法的に継承しているようです。

肝心の終結時期ですが、これが煩雑でしてねえ(^^)
またの機会にしますね。

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