2014年11月17日月曜日

奇々怪々な和語の世界




外交官用語は難しい。
微妙な言い回しに込められた意思表示は、独特の世界である。
某紙に掲載されていた「分類表」・・・・これは面白い(笑)


抗議の表明の際のランキング(意味合いの大きさ順)である。

1)断固非難
2)非難
3)極めて遺憾
4)遺憾
5)深く憂慮
6)憂慮
7)強く懸念
8)懸念


まず「非難」が最上位クラスなのは語感としても妥当であり、
懸念は「気にかかるなあ」って感触だから最下位まではいいとしても「憂慮」より「遺憾」のほうが上位なのか?

遺憾とは「思い通りに事が運ばなくて残念だ」という意味で、
期待したようにならずに、心残りに思うこと。残念に思うことというのが国語辞書的解釈。
しかし、外交現場では「・・は為されるべきではなかった」という見解の表明であり、
期待を裏切ったという非難の意味を込めるが、拳を振り上げるには至らないって感覚らしい。

一方憂慮は「憂い慮る」ってことであり、心配だ、不安だという意味合いである。
外交的には「実際に問題が顕在化し、十分な危機感を有している」という印象表明的な感覚が
期待を裏切った「遺憾」よりは下位ということなんでしょう。


もっともこのランキングは外務省用語体系であり、英語やチャイ語だとそれどれの語彙体系が
あるに違いない。
正しく対比させればいいが、意図的な意訳を行えば、国益を損ないかねない。


例えば「失望」という言葉・・・原語では「disappointed 」でした。
蝸牛庵の英語力だと細かい差異認識ができないので・・・ある方の見解を引用すれば

懸念(concerned)よりもはるかに強い。
遺憾(regret)と比べても強い不快感を示す・・・ということらしい。

この方は外交の専門家ではないので、外交官的語感ではどうなるかという疑問は残るが
思うほど軽い意思表明ではなさそうです。
しかし、これは被虐的誤訳であり「心外」程度の語感だと主張する向き(ライト系全国紙)もある。
何が正しい・・・・



だから奇々怪々な和語の世界なのですよ・・・(苦笑)


(注記)

米国の公式表明の過去事例では、一般的に同盟国に対して使用されるような表現ではないそうな
やっぱり「異例の表明」だと思うべきかな・・・
ちなみに、これは安部総理の靖国参拝時の公式リリースの一節です。
原文では明確に「アベの靖国参拝に失望した」とはなっていません。














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