2015年7月19日日曜日

よろん・せろん



今更ながら、汗顔の至りとはこういうことを言う。
ちゃんとした字引きを引かずに、安物のPCの漢字辞書なんかで
代替してきた罪科だろう。

iPadの漢字変換だと・・・

よろん・・・・世論 輿論
せろん・・・・世論

微妙な違いがそれなりの見識を暗示するところがAppleらしい。
与論・・というものもありますが、これは島の名前(苦笑)

文明の精華たる漢字文化において「世論」というような熟語はない。
正確には「輿論」である。
唐代に始めて登場するらしいが、本来の意味はさておき、
明治の賢人たちは「パブリック・オピニオン」という外来語にこの熟語をあてた。
そして、賢人の賢人たる所以は、同時に「世論」という熟語も作り出したことにある。
メデイア論に詳しい先生によれば「パブリック・センシティブ」の意義らしい。

なるほど・・・・民意を国政に反映せんがために、生命身体の危険も顧みなかった
明治の人々は、建設的な民意とその場の空気に流される風の違いをよくわかっていたのである。
戦前のマスメディアも、輿論を背景に記事を書いたのは贔屓目に見ても大正デモクラシーまでのこと。
一方で、世論を背景に無責任な論を書き散らす赤新聞もどきは明治の後半にはすでに登場しており、
昭和以降は世論新聞ばかりって有様。
したがって「社会の木鐸」なんてさすがに恥ずかしく、
久しくも、目にすることも耳にすることも少なくなった。

 
さて、輿論は「よろん」。
世論は「せろん」と読むのが正しいようです。
思えば、昔は「セロンチョウサ」と言っていたような記憶がある。
いつからか・・・須らく「よろん」といわれるようになり、
民意とやらが当てにならなくなった・・・というかなにが民意か分からなくなった。


安保法制に日本中から違憲や疑問の声
当初予算の二倍もかかるスタジアムの建設に非難の・・


本当に民意はどこにあるのでしょうかねえ?
騒がしいマイノリティだかマジョリティは、あちこちでデモやってますが、
同時に人気低迷なプロ野球球場にすら、その以上の民草の群れ
ギリシアにようにシンプルな国民投票でもしてみないとわからないのでしょうか?
しかし、その本当の民意が正しい判断かどうかも分からない。
そして、中身は不明ですが「民意」にかかわらず、緊縮財政案をEUに報告したらしい
かの民主主義発祥の国の国民投票はなんだったのか?
あれって、たんなる「セロン」と読み切ったのであれば、
さすが、ペリクレイトスを生んだ国民の末裔だけのことはある。
狼狽えたラテン系やゲルマン系の技量が知れるってもんです(笑)



老成したサイレントマイノリティは、ただただ駄日記を書くだけですなあ・・・







0 件のコメント:

コメントを投稿