2015年7月30日木曜日

入谷の里の侘び住まい



何故だか箱根の向こうは「谷」を 「や」と発音する。
真っ当な和語の世界だと「たに」に決まっているが、多分に夷の言葉なのだ。
唯一的に例外は「鴬谷」であるが、これには理由がある。本論とは関係ないし、
毎度話題にしていますから、再掲はしない。

入谷という以上、かつては低湿地帯だったにちがいない。
平成の世では、普通の下町で、鬼子母神と朝顔市くらいしか名物はない。
大層な由来でもないが、江戸後期での、下級武士のアルバイトで始まった変わり朝顔の栽培。
いまとなっては、近隣に朝顔栽培農家なんか影も形もなく、江戸川区あたりから持ち込まれるそうだ。
鬼子母神界隈の朝顔市は、なかなかの活況であるが、別に鬼子母神が朝顔との
縁があるわけでもない。
蜀山人に由来する「・・・おそれ入谷の鬼子母神・・・」なる地口でちょっと
名がしれているって程度ですので名刹っていう風情もない。

更に言えば、雑司が谷もそうですが、鬼子母神の「鬼」にツノをつけるのは
仏典の記述に従い、間違いです・・・そういう漢字がないので致し方ないが、
その程度の説明すら正確に書かないウエッブサイトは困りもの(笑)

まあそんなことはいいのですが、この地口が蜀山人に由来するとは
まったく知らなかった。
蜀山人私家集を紐解くに・・・放歌集なる歌集にありましたねえ

いまさらに 恐れ入谷の きしも神 あやうく過ぎし 時を思えば

背景説明がないので、状況がわかりませんが、なんか霊験新たかなことがあり、
鬼子母神様の御利益に恐れ入ったが、いままではそんなことは露知らず、あらためて・・・ということのようです。

ネットの知ったかぶりでは・・・

恐れ入谷の鬼子母神
びっくり下谷の広徳寺
なんだ神田の明神様

とかなんとか親父ギャグが延々と続きますはが、これも蜀山人の作だとか?

多分ですが・・・巷間のダジャレが先で、それを蜀山人が援用したという方が正しいように思えます。
この手の物言いは

あたり前田のクラッカー
その手は桑名のアンルイス
嘘を築地の魚市場
嫌じゃ有馬の金のお湯

いくらでもありますからねえ(笑)





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