2015年11月20日金曜日

有料図書館のすすめ

佐藤隆信の「卓見」

創業者の三代目である新潮社社長の言うところの「本の売り上げが減っているのは図書館の貸し出しの増加が一因」が正鵠をえているのかどうかは知らないが、図書館の貸出冊数も利用者数も増えているのは統計上明らかである。
一部の新刊に限って図書館に対し1年間の貸し出しの猶予を求めるという提言は一考に値する。

全国の三千館と言われる図書館が、一斉に人気新刊本を購入すれば、最低でも約三千部。
貸出期間は通常二週間ですが、人気本ともなれば、もう少し回転は良くなる。
半年足らずで数万部の発刊に相当する読者が生まれる。

佐藤社長の言う「売れる本を貸し出しでぐるぐるまわされてしまうと、少し出版全般が傷んでしまうという構造」というのは一部の真実を含んでいるような・・・
しかし、図書館で無料で読めるからこそ、芸人芥川賞作家の受賞作に千人以上の待ち行列が出来るのである。
それだけの行列となれば、本当に読みたいのであれば、ランチを抜いてでも書店にお財布を握りしめて
駆けつけるでしょう。
佐藤社長の提案通りの貸出システムになれば・・・・図書館に置いてないなら読まないってことに多分あるいは絶対になる。
一年後には・・・この変化の激しい時代、二流芸人クラスの文芸なんか・・とりわけ
芥川賞だと、みなさん猫マタギですよ(笑)
結果、既得権の三千部・・・実際は複数部数を購入しますから、多分ですが、その一万部強も
売れない結果になる。

本当に書籍という知の大伽藍に敬意を表する人種には無縁の世界のたわごとです。
しかし、これ以上出版業界が疲弊してもらうと困る。
所有から利用へってわけ知り顔にいう向きもあろうが、それは所有に耐え得ないコンテンツの話。本当の知に対するレスペクトを知らない。

ふと思うのですが、公共図書館が無料であらねばない理由って何ですか?
タダって一番の悪徳だというのが蝸牛庵の信念。
たとえ、ディポジットでもいいから、金を取りましょう。
レンタルビデオの世界では、新作は割高・・・当然の資本の原理。

一年間貸出停止の代わりに一年間有料貸出ってアイデアはないのかねえ(笑)
版元と利益を分け合う方がまだ気が利いている。
貸出カードだって、ディポジットですよ。
そうしないから、ホームレスや受験生の溜まり場になる。
借りた本をちゃんと返さないとか毀損するごくつぶしが数多いるわけで、
その求償財源としても有効です。

何事もそうですが、理由はともあれ民度が落ちてます。
無料のサービスを提供することには懐疑的であるべきです。
別に高額な会員フィーを要求してはいませんし、お預かりするだけです。


結果、図書館に巣食うホームレスが駆逐されるってことで、人権団体がさわぐ。
それのどこが悪いって・・・居直ると糾弾されるんですよねえ・・・苦笑
そもそも、衣食足りて知の大伽藍をしるのであるが、知の大伽藍は貧者に扉を
閉ざすものではない。




ただ、知への探求ということに共鳴さえしてくれれば・・・

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