2020年7月16日木曜日

乱能のこと




能楽はシテ方・ワキ方・囃子方・狂言方の各役が専業となっているが、
慶事など特別な折に、出演者全員が専門外の役を担当して催しが行われることがある。
これを乱能という。
演者にとっては互いの技芸を習得したり、苦心を知ったりする場でもある。
不慣れなために失策を演じ、舞台上や見所から笑いが起こることもある一方、
感嘆するような芸が演じられることもある....

辞典風な解説は以上の通り
能楽の内幕なんかをある程度知れば面白い公演だが、
滅多にあるものではない。
アタシは残念ながら拝見したことがない。

役者のパートを専門にする能楽師ならば、ワキがシテをやったり、
狂言師がシテをやれそうな気もする。
囃子方(オーケストラ)は、基本的に謡や舞はできるみたい...

アタシの稽古場には、藝大で能管を学ぶお姉さんが仕舞の練習に来てましたし
このリンク映像をみても...

人間国宝の大倉源次郎氏と長男(だと思う)の練習風景
なかなかの謡っぷり


一方でシテ方は楽器が出来るのかしら?
逆に言うと、日頃厳しい指導のお師匠様が、

能管のヒシギ(最高音域の鋭い音)が出ない
鼓のリズムが狂う

なんてな失態が見もの・聞きどころ
お弟子には実に楽しい公演で毎度満席お立ち見まで


座興の類いだが、スポンサーがいればまだしも
入場無料という訳には行かない。
能一番舞うにも結構費用がかかるのです。
かといって「素人芸」で金をとるのは矜恃が許さない。
アタシの先代師匠のときは、カンパ形式だった。


もれきくに...望外のアガリだったらしい。


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