2020年7月23日木曜日

Red Harvest



ハードボイルドの嚆矢とも言われますが、傑作の部類
さまざまな翻案映画にもなりましたが、
オリジナル映画化がないのが、実に奇妙なはなし。


黒澤明は、シェイクスピア翻案映画を得意としますが、
アメリカンの犯罪系も読書範囲のようです。
ダシール・ハメット以外にもマクベインの「キングの身代金」も映画化しています。


あらすじやら批評なんかはあちこちに書き散らかされていますからパス
興味は邦題に移る。
複数の邦題が競演するのは、誠に珍しい。
以下、ウィキからの引用

赤い収穫(砧一郎訳、早川書房、1953年)
血の収穫(田中西二郎訳、東京創元社(世界推理小説全集)、1956年)のち文庫
血の収穫(能島武文訳、新潮文庫、1960年)
血の収穫(河野一郎訳、中央公論社(世界推理名作全集)、1960年)のち文庫
赤い収穫(稲葉由紀訳 講談社(世界推理小説大系)、1972年)
血の収穫(田中小実昌訳、講談社文庫、1978年)
赤い収穫(小鷹信光訳、ハヤカワ・ミステリ文庫、1989年)
血の収穫(河野一郎・田中西二郎訳、嶋中文庫、2005年)
血の収穫(田口俊樹訳、創元推理文庫、2019年)


傾向としては「血の収穫」に収斂しそうな雰囲気
最初にこのジャンルを専門とする版元二社がタイトルで張り合ったのでしょう。
大手三社が片方に傾斜すれば事は決まったはずが、
これまた対立してしまった。

直訳がいいか意訳か...
コンテンツ自体の表意性からすれば「血の収穫」
しかしお話の寓意性を思えば「赤い収穫」なほうがお好み。


むしろ訳自体の良否なんだろうが、
読み比べをするほどのめり込んでもいないのでなんとも
アタシの持っているのは、田中西二郎版
古い訳ですが、オリジナルの文体がそうなんだろうと思いますが、
簡潔乾燥無機的なハードボイルド特有ですから、
今風の倭語としてもさほどの違和感がない。
つまりどの訳も大差ない...と思われます。

ハルキあたりが新訳を引っ提げて参戦しないのは、
この辺りにあるのかも。
小説家として訳してみたい気にならないんだ?

例えば「レッドハーベスト」なんて表題で新刊を期待したが
無理みたい。

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