2020年7月7日火曜日

草紙洗小町



絶世の美女らしい。
しかし、実在性が疑わしいともされる。
そんなこんなで芸の素材には格好ということで、
能の世界では「七小町」と称される小町曲集がある。
もっとも、その内二曲は、お流儀が違うのでどんなものか皆目わからない。


才色兼備で驕慢な性格で男嫌い(?)・・なのかどうか知らないが、
小町ものとは、衰亡落魄説話の主人公として描かれる。
ちょっと美形だとか才能があるからって、天狗になりオトコを見下したりすると
老後は哀れなんだよ・・・てな教育的なのです(笑)

オトコの一生は仕事で決まり
オンナの一生は、オトコで決まる・・・・っておばあちゃんが言うてましたなあ。



恋い焦がれる深草少将に百夜通いの試練を課し、哀れ九十九夜に、彼は狂い死とも
雷に撃たれたとも・・・


さらば、煩悩の犬となって、打たるると離れじ(通小町)


あまりの愛の深さに、最後はオトコは愛欲の狗に堕してしまうのですよ。



あまり邪険にあつかうのも如何かと心優しい世阿弥師は、考えたのでしょうねえ。
優美で機知に富むエレガントな小町が登場するシュールでサスペンシブルなお話が・・・

「草紙洗小町」

退屈な能にしては、珍しい建て付けの人気曲。
三島の近代能楽集的に説明すれば・・・


以下オトコ(大伴黒主ということになってます)の独白・・・・


明日ってさあ
和歌(論文と言い換えると分かりやすい・・・苦笑)の査読会あんだけんど、
相手は小町じゃ勝ってこないじゃない。
なもんで、今晩小町のマンションに忍び込んでさあ、
事前にどんなのを披露するか?調べとこうっと思ってんの。
そして、当日は細工した万葉集をもちこんで・・・

おおそれながら、この小町の歌は盗作です。
ほれ、その証拠にこの万葉集をご覧ください。
彼女の歌が、この通り一字もたがわず記載されております!

悪意をもった不正、捏造は明らかであり、歌人として失格そのもの。
直ちに鞭打ちの上宮中追放を・・・

って、帝に直訴しようっと(薄ら笑い)



謀略は大成功!
一旦は、小町の歌を賞賛した宮中の人々は、一転して指弾の嵐


さあ、小町は、この絶体絶命の窮地を逃れることはできるのでしょうか?
不服申し立てをする小町に、起死回生なるか・・・


どっかで見たような聞いたような・・・(笑)
お能って辛気臭く、居眠りを誘うような演目ばかりでもないって・・・
ネタバレはしませんので、チャンスがあれば是非ともご覧ください。











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