2020年7月15日水曜日

ガラスの鍵



情緒表現を排した客観描写で主人公の行動を無機的非情に描いた小説...
と言うのが、文藝辞典的なハードボイルドの定義。

料理用語ならば、硬茹で卵


個人的には、チャンドラーは、少し軟らかめ
ハメットは、超硬茹で....に近いと思う。
情緒的で湿度が高い系は苦手ですが、あまりに硬いのも食い付きにくい。
血の収穫、マルタの鷹...読むには読んだが、
チャンドラーのような何度もという気持ちにはなれない。

いずれにせよ、倭国のハードボイルド作家なる連中
大藪何某が濫觴らしいが...
読むに堪えるのは、原遼氏の沢崎シリーズだけ。
基本、民族的にも乾燥体質でもないから、無理無理が透けて見える。
慣れない調理はやるものではない。


ガラスの鍵


知名度は劣るが、作者の自信作だし、プロ評価も高い。
映画化も二度...が忘れ去られた。
ノルディックミステリーの最高の賞が「ガラスの鍵賞」
決して大衆人気だけで「マルタの鷹賞」とは言わないのだ。
ルネマグリットの画名..との関係は知らない。
無機的な雰囲気だけは似てなくはない。


ミステリーのプロットの講釈はつまらない。
とりわけハードボイルド系は、ストーリーが破綻している例が多い。
それに、殺人事件やその謎解きにさしたる意味もない。

打算と友情
愛憎のラブトライアングル

それらが一気に破綻するとき...つまりガラスの鍵が砕け散る

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