文書管理のセオリーの中「文書保存年限」なるものがある。
法定あるいはビジネスの必要上「一定期間原本を廃棄せずに保存」しましょうということ。
言ってみればアタリマエのことですが、
神は細部に宿るわけであり精緻な約束事がある。
まず「保管と保存」は別物(多くの方は正しく理解していません)
事態が終了するまでは「保管」であり、終了した日から「保存」が始まる。
従って、結構長期間「遺産」を持っていることになります。
保存の起算日は「事態が終了した日」だとして、終了日はいつなのか?
通常、保存年限は「年単位」で設定するので、◯年経過した翌日だと思うと大間違い
正しくは、◯年経過した会計年度終了日の翌日が正しい。
さて、どの程度の期間保存すべきかって結構悩むのですよ。
だからといって長く持てばいいってもんでもない。
錦糸町の某名門産科病院は六十十年前の分娩台帳を保存していたがために、
四千万円の慰謝料を巻き上げられました。
病院サイドは控訴もしなかったようですねえ
医師法の法定保存期間は5年ですからさっさと捨てればいいのです。
あるものをないと言えば「証拠隠匿」ですが、
無いものは無いというルールを明確にしておけばそれはそれで済む話です。
大体において、作成文書が再利用される確率は、一年経過で5%程度だと言われる。
重要な文書ですから「永久保存」って・・・お馬鹿なことを言いたがる方がいる。
永久って、一体どういう時間概念ですかねえ。
そもそも、・・・
煉瓦に刻み込めば 4000年
竹簡に削り込めば 2000年
和紙に墨でかけば 1000年 ・・・というのが歴史的事実としての文書保存実績
デジタル記憶媒体なんかだと、10年程度しか持たない。
最も劣化しない超高性能磁気テープで200年くらいでしょうか・・・
それに、ちゃんとした和紙ならば、結構持ちますが、
昨今の酸性紙だと10年も経てば赤茶けて文字の判別も難しくなる。
それに印刷液は大丈夫なのか?
大昔の経理帳簿はインク(ちゃんとしたインクです)が書いてましたが、
ボールペンが登場した際には、経年劣化問題があり、使用の是非を巡って大論争があったらしい。
紙文書が劣化し、文書の体裁をなさなくなればどうするのでしょうか?
デジタル文書は劣化しません。
劣化するのは記憶媒体だけであり、記憶媒体を移しければ「原本の永久保存」は
論理的に成り立つ。
しかし、アナログ(紙)文書の原本とはオリジナルだけであり、
劣化したと言って写本を作っても、原本保存をしていることにならない。
理性を持って論理的に考えれば「永久保存」とは不可能に等しい。
歴史上価値のある文書は、永久に保管すべき第一級資料ですが、通常ビジネス現場においては
想定しがたい。
浅学菲才の身で思うに、これは歴史的に価値有りと思うのは「日本郵船百年史」くらいでしょうか?
たかが社史というなかれ!
日本近代海運史とは、かの名門企業の歴史そのものだったのです。
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