2014年9月1日月曜日

カラマーゾフ家の四人目の兄妹


サマセット・モーム選ぶところの「世界十大小説」
正確には「19世紀の十大小説」であり、二十世紀の傑作群も含めれば半数以上が落伍する。
しかし・・・・

・ジェイン・オースティン  「高慢と偏見」
・スタンダール  「赤と黒」
・フロベール  「ボヴァリー夫人」
・エミリー・ブロンテ  「嵐が丘」
・ドストエフスキー  「カラマーゾフの兄弟」


これらは残りそうだ。
とりわけ「カラマーゾフ」は絶対に残る。
個人的には完成度と緊張感の高い「悪霊」の方が好きです。
こっちの方は粗雑で荒削りなんですが、重ねうな丼のような内容の多様性が素晴らしい。
読み返す度に、別の作品を読んでいる気にさせる。
ロシアのような11世紀まで国をあげて文盲で、18世紀にやっと大学ができたような
文化後進圏で、19世紀に突如として世界的な文学の花が開いたのは世界史上の奇蹟としか
思えないのですが、それはさておき・・・

作者には、13年後の「第二部」をつくる構想があったとされるが、
創作ノート自体が残っていない以上、なんとも言いがたい。
そして「第一部」脱稿後、ほどなくして作者は死去。
幾多の文学者が続編執筆に意欲を燃やしたことは想像にあまりあるのですが、
何一つ成功した試しがない(読んだことがないし、寡聞にして聞き及んでいない)


それをなんとも、日本人女性がやってのけた。
実際のところ世界的偉業とも思えないのですが、江戸川乱歩賞を受賞しています。
文庫本になったもんで、パラパラと・・・


あっさりと言えばただの読み捨て推理小説です。
アリョーシャが、本格的な主人公をして活躍し、子どもたちの13年後なんて
予想の範囲ですし・・・
ザヴィンコフの「蒼ざめた馬」を読むまでもなく、
無垢な魂ほど大胆に血を流すことを厭わない・・・というモチーフもありきたり
なによりも『カラマーゾフの兄弟に妹がいた!』・・・こんなカラクリが必要なのか?



作者はなかなかの才媛のようですし、推理小説としての出来栄えはそれなりですが
それ以上でもそれ以下でもない。





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