惰性の日常性の中で、孤独に暮らすスイスの哲学教師。
ある雨の日、入水自殺をしようとする女性を助ける。
名前も告げずに立ち去ったオンナの赤いコートのポケットには一冊の私家版の本
ページには挟まったリスボン行きの夜行列車のチケット
逡巡しながらも、不明の著者に会いたくて、リスボンに旅立つ・・・
ミステリアな過去・・・60年から70年台を生きた若者たちの
そう・・・リスボン版「されど我らが日々」
あの「節子の手紙」に替わるものが、現代の「自省録」ともいうべきこの私家版
マルテの手記になぞられる方もいるでしょうが、
文脈からすれば、マルクス・アウレリウスのほうがに似つかわしい。
ポルトガル軍事独裁政権は、70年台に瓦解し、歴史上「カーネーション革命」と語られる。
ネーミングの背景となる美しいエピソードは、お話としては麗しいが、
語られない隠れた歴史にこそ、真実の生きた証がある。
私家版の著者は、裁判官の息子で医師として革命運動に共感しつつも、
医師のモラルが故に義絶され、革命成就の日に病に倒れ死す。
しかし、喪服を手放さない妹は、兄の死を頑固なまでに認めない。
親友の運動家は、女性同志をめぐる愛憎から医師と離別し・・・かろうじて革命期を生き抜いたものの、
薬局店主として、屍のように昨日を生きる。
二人の間の女性闘士
歩く記憶装置
翻弄される二人の男
スペインに逃げ去り、杳として行方はわからない
ピアノを愛する活動家は、秘密警察の拷問で、両手を失う。
老人ホームでただ日々を偏屈に生きるが、哲学教師に、一箱のタバコと引き換えに
過去の語り部として、重い口を開く・・・
なんだか、蠱惑的あるいは魅力的な登場人物が、今と過去にフラッシュバックしながら
登場し、歴史の隠れたベールを剥ぎとってゆくが・・・
でも、最初に登場した自殺未遂の女性は一体何者なのか?
最大のミステリーの結末は・・・自分で映画館で確かめることですね(笑)
映画館はそこそこの入りでした(時間帯的に、これで不入りだとどうしようもないが)
周回遅れの映画後進圏でも、良いものと悪いものの区別くらいはつくようです。
お財布から入場券を買っても、損はしません。
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同じネタで二本も日記書いてしまったので、おまけ映像はこちら。
こっちは、お薦めしませんが・・・・
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