2014年9月27日土曜日

リスボンに誘われて(2)



惰性の日常性の中で、孤独に暮らすスイスの哲学教師。
ある雨の日、入水自殺をしようとする女性を助ける。
名前も告げずに立ち去ったオンナの赤いコートのポケットには一冊の私家版の本
ページには挟まったリスボン行きの夜行列車のチケット
逡巡しながらも、不明の著者に会いたくて、リスボンに旅立つ・・・


ミステリアな過去・・・60年から70年台を生きた若者たちの
そう・・・リスボン版「されど我らが日々」
あの「節子の手紙」に替わるものが、現代の「自省録」ともいうべきこの私家版
マルテの手記になぞられる方もいるでしょうが、
文脈からすれば、マルクス・アウレリウスのほうがに似つかわしい。


ポルトガル軍事独裁政権は、70年台に瓦解し、歴史上「カーネーション革命」と語られる。
ネーミングの背景となる美しいエピソードは、お話としては麗しいが、
語られない隠れた歴史にこそ、真実の生きた証がある。



私家版の著者は、裁判官の息子で医師として革命運動に共感しつつも、
医師のモラルが故に義絶され、革命成就の日に病に倒れ死す。
しかし、喪服を手放さない妹は、兄の死を頑固なまでに認めない。

親友の運動家は、女性同志をめぐる愛憎から医師と離別し・・・かろうじて革命期を生き抜いたものの、
薬局店主として、屍のように昨日を生きる。

二人の間の女性闘士
歩く記憶装置
翻弄される二人の男
スペインに逃げ去り、杳として行方はわからない

ピアノを愛する活動家は、秘密警察の拷問で、両手を失う。
老人ホームでただ日々を偏屈に生きるが、哲学教師に、一箱のタバコと引き換えに
過去の語り部として、重い口を開く・・・


なんだか、蠱惑的あるいは魅力的な登場人物が、今と過去にフラッシュバックしながら
登場し、歴史の隠れたベールを剥ぎとってゆくが・・・
でも、最初に登場した自殺未遂の女性は一体何者なのか?


最大のミステリーの結末は・・・自分で映画館で確かめることですね(笑)
映画館はそこそこの入りでした(時間帯的に、これで不入りだとどうしようもないが)
周回遅れの映画後進圏でも、良いものと悪いものの区別くらいはつくようです。
お財布から入場券を買っても、損はしません。



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同じネタで二本も日記書いてしまったので、おまけ映像はこちら。
こっちは、お薦めしませんが・・・・







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