鍾乳洞や洞窟なんかがあると「胎内巡り」と称し観光資源化する。
観光地でなくとも、押入れに引きこもりたがるってあるものだ。
乱歩の「屋根裏の散歩者」の主人公も、そういう性癖があった。
地下道めぐりみたいな事例をかけば・・・
レ・ミゼラブルの白眉は、マリウスを背負ったジャン・バルジャンがパリの地下水道を
彷徨うシーンである。
街頭にバリケードを築き上げ「民衆の歌」なんかを大合唱をバックに
国家権力と死闘を繰り広げるクライマックスシーンに目を奪われるようでは、
あの大河小説の読み方が浅いのですよ(笑)
ヒトザルの一番幸せな時代は「母親の胎内で羊水に浸かっている状態」だと
喝破したのは、尊敬に値する高校の生物の先生だった。
かかるがゆえに、無意識の「胎内願望」がヒトザルの思想・感情を刺激するのです。
映画の地下水道や第三の男の話題は繰り返さない。
リアル書店で、ふと見かけた見慣れない一冊。
モンフォーコンの鼠(鹿島茂)
モンフォーコンといえば、ローヌ川縁にそびえ立つ千年前のシャトーを思い出し
ブレンドの妙が楽しめるお手軽ワインなんか・・・ではないのです。
某書評のあらすじを引用すれば・・・
七月王政下のパリ。
バルザックのもとにカストリ侯爵夫人からファンレターが届く。
同じ頃「危険思想」の集団の捜査を進める警視総監は
公衆衛生学者パラン・デュ・シャトレにパリ郊外モンフォーコンの廃馬処理場で出会い、
パリの食糧問題と衛生問題について滔々と語られる。
モンフォーコンでは廃馬の内臓を餌に巨大化した鼠が出現しはじめていた。
また同じ頃・・・過激な社会主義者フーリエと信奉者たちは
男女が完全に平等に、自己の欲望に忠実に生きる理想的共同体「ファランステール」建設を目論む。
ある日、バルザックのところに美女サン・レアル侯爵夫人がたずねてきて『デヴォラン組』なる小説の三巻本をおいていく。
著者は「オラース・ド・サン・トーバン」。
バルザックが昔使っていたペンネームであるが、こんな本を書いた覚えはない。
しかしやがてバルザックは何かに導かれるかのように第四巻『カリエールの死闘』の執筆を始める・・・・
なんかスリリングな胎内巡りが始まりそうな予感
アマゾンで早速注文し、鶴首して着到を待ってます。
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