2020年4月29日水曜日

視覚で....聴覚で




菜の花畠に、入日薄れ、
見わたす山の端は、霞ふかし。
春風そよふく、空を見れば、
夕月かかりて、にほひ淡し。

里わの火影ほかげも、森の色も、
田中の小路をたどる人も、
蛙かはづのなくねも、かねの音も、
さながら霞める 朧月夜。


今時流行らない文部省唱歌ですが、
この歌だけは、パブリックドメインになっていることも理由に
多くの実力派がカバーしています。

情感満載の七五調の擬古的歌詞が実に素晴らしい。
倭の原風景...とかなんとかでなくて
夕暮れ時
視覚で味わう風景が闇ぐれるとともに
聴覚での味わいになる...このながれがなんとも言えない絶品


景勝は視覚で味わうのを常とするが、聴覚で!って
感覚が素晴らしいのよ。
落語「近江八景」に登場する八景を詠み込んだ狂歌は
あまりに有名だが、この俳句もなかなかのもの

七景は
かすみの中に
三井の鐘

洒落がわかれば、絶句する

0 件のコメント:

コメントを投稿