2020年4月30日木曜日

Five Senses





視覚 / sight
聴覚 / hearing
嗅覚 / smell
味覚 / taste
触覚 / touch

古典的な感覚分類であり、現在では更に細分される。
しかし、この五つが等位というわけでもなく、
王朝和歌世界だと「視覚・聴覚・嗅覚」にほぼほぼ限られ、
嗅覚においては、薫、芳、香、匂...とまあ、きめの細やかさよ!

味覚の和歌も色々ありげだが、あまり思い出せない。

ひのもとに
はやらせ給ふ
岩清水(鰯みず)
まいらぬ人はあらじとぞおもふ

レディムラサキの即妙歌と思い込んでいたが、和泉式部作らしい。
宮中住み込みのキャリアウーマンは、
鰯みたいな下魚は口にしないものだが、式部は大好き。
ある日それがバレて冷やかされたが...
座布団三枚!な才気煥発なんですが、あまりエレガントではない。

そこで、数少ない触覚の和歌

黒髪の
みだれもしらず
うち臥せば
まづかきやりし人ぞ恋しき(後拾遺 和泉式部)

黒髪に触れるってかなり官能的です。
それを更に官能的にしたのが...

かきやりし
その黒髪の筋ごとに
うち臥すほどは面影ぞ立つ(新古今 定家)


小説の領域で分類として「官能」小説があります。
早い話がエロ小説。
誰がこんな命名をして言葉を貶めたんだろうか
官能にも、上品と下品があり、前者はエレガントの意味です。
かきやりし黒髪の触覚は...エレガントの極致

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