2014年5月7日水曜日

不都合な「サイレント・スプリング」





つばめよ
高い空から教えてよ 地上の星を
つばめよ
地上の星はいま 何処にあるのだろう・・・・
 
 
 
例のごとく薀蓄をって・・・ところが、ツバメの和歌が、まったく「引き出し」に入っていない。
蝸牛庵の引き出しもたいしたことがないなあ・・・って
しかし、気になって、陋屋に帰った際に、ちょこっと調べると

岩波の「八大集総索引」みても、出例は皆無。
王朝歌人の琴線に触れるような鳥さんではないみたいです。
一方、中国でも同じ渡り鳥でも雁は蘇武の故事もあって、人気鳥。
ツバメさんは、それに引き換え、取り扱いは粗末です。

ついでに、万葉集四千五百首のなかでは・・・たった一首

燕来る 時になりぬと 雁がねは 国偲びつつ 雲がくれなく

これまた、取り扱いは粗末です。
主役は、あくまで雁。

 
まあ、そんなこんなで、王朝美学は、
花鳥風月っていい「モノに寄せて想いを述べる」のですが、
しかし「トリ」とは、時鳥とか、雁、鶯・・・
 
 
しかし、現代ともなれば・・・
 
サーカスの歌(たびのツバクロ さびしかないかい)
チェリーブロッサム(つばめがとぶ 青い空)
越冬ツバメ     

      ・・・そして「歌姫」の地上の星
 
 

しかし、最近は燕さんを見なくなった。
燕さんはもとより、雀さんもだ。
無粋な(でも小利口な)鴉ばかりが、傍若無人に動き回る
 
 
古来、稲作時の害虫駆除の益鳥として、大切にされてきたし、
街中でも、ツバメの巣のある家は安全であるって言われてきた。
餌となる害虫が少なくなり、巣作り用の泥や枯れ草の入手が
困難になったからか・・・飛来数がへってきたのでしょうか?
 
 
ツバメは、飛来すると代々同じ家に巣作りをするそうです。
寒村の陋屋にも毎年、今頃・・・やってきます。
そう・・・「マレビト」みたいに(って折口先生ならいうのでしょう)
 
陋屋の玄関が両開きで間口一間、大きさで京間六畳程度の玄関口なんですが、
毎度、その玄関の内側に巣作りを始める。
普通は、軒先に作るのが礼儀だと思うのですが、
まあ、家主に似たのか傍若無人なんです。
そうなると、困ったことに、玄関戸を閉めるわけにもいかず、
24時間、三寸ばかり開けたっきり。
無用心きわまりないが、マレビトさまの言うとおりに・・・
糞を落としたりもしますから、糞よけの棚をつくり・・・本当に我侭な
マレビト様がお越しになると大変です。
そうこうしているうちに、雛が生まれる。かわいくもあり、うるさくもあり
しかし、よく、巣から落っこちるんですよ。
そうなると、出番は、捨て猫暮らしの長かった我が家の獰猛な愛猫の出番。
待ちぼうけの百姓よろしく、一日中、巣の下で雛が落ちるのをまちまかえている(苦笑)


そんなこんなの風景も、十数年前に途絶えた。
阪神の地震以降だったかなあ?
一家もろとも航海途上で遭難でもしたのでしょうか・・・
それとも


レイチェル・カーソンが「鳥たちが鳴かなくなった春」ということで
環境問題に警鐘を鳴らしたのは、62年のこと
もう、半世紀も前のことです。
鳥の声はますます聞こえなくなっています。
 
つばめさんが、いなくなったのは、
地上の星がどこかにいってしまったから?
それとも、つばめさんが飛んでこなくなったから?



2 件のコメント:

  1. まだ、田舎のわが地域では、高速道路のSAのトイレに巣を作ってました、、、
    下に糞が落ちないようアクリル板で受けてあって、なかなか粋なはからいでした。

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  2. ちょっと大きめですが、ビニール傘を逆さにって見かけたことがあります。

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