2014年12月13日土曜日
最高裁判所裁判官国民審査
税金の無駄使いの最たるもの・・・
制度が妥当でも正しく使われなければ、あるいは正しく使えるような制度設計でなければ
現時点においては「無駄」と言わざるをえない。
現行憲法の規定によれば・・・
第79条
1.最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、
その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。
2.最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、
その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。
3.前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。
4.審査に関する事項は、法律でこれを定める。
5.最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。
6.最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。
この報酬は、在任中、これを減額することができない。
ところで、自民党の改定案が面白い。
1.略
2.最高裁判所の裁判官は、その任命後、法律の定めるところにより、国民の審査を受けなければならない。
3.前項の審査において罷免すべきとされた裁判官は、罷免される。
4.略
5.最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。
この報酬は、在任中、やむを得ない事由により法律をもって行う場合であって、
裁判官の職権行使の独立を害するおそれがないときを除き、減額することができない。
まず(実質上の)任命権は内閣にあっても、最終的な最高裁裁判官の罷免権の一部は
その罷免理由の如何を問わず主権者が有するという点については差異はない。
この考え方はいいとしても、よく言われる「任命責任」をどう考えるのかに「興味」あり。
まさか任命した内閣が連座で辞めるわけがないが・・・(笑)
国民審査の二回目以降をどう考えるかに違いがある。
最高裁裁判官の年齢基準は40歳以上と定めているが、実際上は60歳以上で任命される。
任命時の審査を除き、さらに審査を受けた事例はない(定年は70歳)
従って実質上無意味な規定となっており、
それが理由かどうかは別にしても改定案では「法律の定め」とされる。
さらに「多数の罷免」表明があれば罷免されるという条項も「法律の定め」に
改められる。
つまり、現行運用の「罷免と積極表明しない限り信任と看做される」方式の妥当性の
変更を法律的に行う事や「多数」の定義をいかほどともできることが可能になる。
ちなみに過去の審査結果では、最高でも罷免表明率は15%程度にすぎない。
つまるところ、一定の条件下での報酬減額可能規定を含め、最高裁に立法府として
強面で臨もうという意識がありありと見えますが、
立法府として司法の独立や憲法の精神を歪めるような制度を法律で制定すれば、
最高裁判所はその存在意義を賭けて「違憲判決」を出せます!!
有史以来初めての「違憲且つ国民審査結果の無効」判決が見れるかもしれません(笑)
しかし、蝸牛庵の国民審査法案骨子だと・・・
都度の参議院選挙の際(三年ピッチ)に国民審査を行う。
有効投票数の過半以上の明確な信任表明があれば次回の国民審査を除外される。
有効投票数の過半以上の明確な罷免表明があれば直ちに罷免される。
罷免と信任の差の累積がその時点の有権者数の3分の1を超えた場合には罷免される。
程度の制度であれば「違憲」だとは最高裁も言い難いでしょうって思うのですよ。
最高裁は「憲法と自身の良心」にのみ従い公平な裁判を行う裁判官の立場に鑑み、
国民審査そのものに「反対」の態度だと思われます。
裁判官とはいえ、生身の人間。大衆や権力に迎合することもある。
しかし、定期的に、それも多くの回数で「主権者の審判」を受けているということは
何事にも代えがたい「強み」なのですよ。
立法府や行政府に迎合するよりも主権者の懐いを忖度するほうがプレゼンスが高まると
思うのですがねえ・・・
全体観からすれば、敬服しがたい「憲法改定案」なのですが、司法編だけは
この通り改定してもいいかなって思っています。
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