間口一間、カウンターだけ。
上品なおばさんといかつい兄さんだけでやっている。
二人の関係はとうとう聞きそびれた。
どうみても、血縁を感じさせないが・・・・
出すものは「クワ焼き」
鍬焼きと書く方が、感じが出る。野良仕事のランチに、鍬の上で四つ足を
焼いたもの。通常の食器を使わないのは、穢れを忌避したとも言われる。
呑みものは、白濁り酒。
どぶろく系ではない。清酒にさらに生酵母を添加している。
冷やした味がたまらない。
学生さん・・・・そう、そんな昔から通っていた。
三杯で止めときなはれや!
確かに、口当たりに蠱惑され、度を越せば足に来る。
おばさんは引退してお店を閉めた。
お兄さんが、暖簾と鉄板と屋号を譲り受けて、天神橋筋に新規開店をした。
客筋が変わったが、常連も見かける。
なんせ、インテリが集まるお店だった。
いつも見かける隣の三人組はどうやら阪大の院生みたいだ。
意味不明な科学論争を口角泡を飛ばし・・・
一人が立ち上がり・・・
そんなら、今から研究室にも戻って実験やろやないか!
おばさんは、ニコニコ見ているだけ・・・
最後まで、名前も身分も明かさなかったが、どうも知っちゃってたみたいだ。
お兄さんの天神橋筋のお店も昨年末に引退閉店した。
たまたま足を運んだ日が閉店日。
僥倖と言うか感無量だった・・・って感じの常連ばかり。
半世紀に及ぶ付き合いが終わった。
ところで、昔の阪急東通商店街のお店は、ある若者が借り上げ、
八重垣の屋号のまま、今に至る。
商売に励んだ結果だろうが、お店の規模は倍になった。
普通の居酒屋となったが、相変わらずの鍬焼きと白濁り酒は定番メニューの
ようです。
栄枯盛衰の激しい業界で四半世紀お店の暖簾をあげ続けるのは大したもの。
久し振りに足を運んでみるか。
八重垣酒造の銘品をフルラインアップで揃えているらしい。
0 件のコメント:
コメントを投稿