2015年5月30日土曜日

本当に「一番長い日」だったのはいつ?



日本の一番長い日・・・でもないがねえ(苦笑)


最初に刊行された際には、大宅壮一原作とされたが、
実際は版元の当時若手社員だった半藤一利の手になる。
事情は察するしかないが、まあ想定の範囲内。
作者のネームバリューもあり、815戦争大作シリーズの嚆矢。
多分ですが、大ヒットだったと思います!
東宝の総力を挙げ、映画・演劇人のフルエントリー。
今でも鑑賞に耐える・・・はず。
ところが、リメイクされて、本年八月ロードショー。
二匹目の泥鰌かねえ?
芸のない(苦笑)


見もしないで小馬鹿にするのは、精魂込めて映画を製作した関係者に対して誠に失礼ですが、
戦後70年の節目ならば、他にもアイデアはある。
言ってくれれば、知の大伽藍あげて協力したのに(笑)


前作・リメイクとも、阿南陸軍大臣が配役のトップ。
概ねストーリーの展開は読めます。
玉砕徹底抗戦を叫ぶ陸軍の翻意をどのように・・って、
御聖断に至る苦悩のストーリーってことでしょう。
今回は、裕仁天皇が結構センターをやるらしい。
前作は、八代目松本幸四郎がセリフもなく鎮座していたことらしいが、
あれってハマクラと勘違いしていましたが、ちょっと釈然としない・・・

そもそも的に決断が遅かった。
ポツダム宣言から一ヶ月弱
其の間に幾多の命が奪われ、どんだけ戦後に悔いを残したか・・・
罪万死に値する!

いまだから、天皇をセンターに据えて815をって・・・
これも、ロシア人映画作家のソクーロフが「太陽」で実践済
あんときは、イッセー尾形が演じた。




ということですから、蝸牛庵が製作者ならば

昭和十六年の敗戦(猪瀬直樹)
東條英機暗殺の夏(吉松安弘)

なんかを素材にします。
それぞれに骨格のしっかりしたノンフィクション小説。
正しい歴史認識からすれば、あの一日で将来の日本が決まったってことじゃない。


負け戦は、戦う前から当時の官民一体の知のエリートたち(総力戦研究所)の研究で明らかだった。
その報告では、戦局のシュミレーションは、ほぼ現実と同じように展開し、
はずれたのは「原爆投下」だけだった・・・と言われている(原本を読みたいものだ)
当時の日本人だって理性と論理で分析はできたのです。
しかしながら、決断と実行となれば、勘と度胸で暴走する。
昭和19年の暑い夏
敗色濃厚のなかでも戦争まっしぐらだけの絶対権力者東條英機(首相・陸軍大臣・参謀総長)を
引き摺り下ろし、臥薪嘗胆のつもりで講和に転換しなければ・・・と謀略の渦が


ってことこそ、今昭和史に疎い国民に与えるべきMSGでしょう。







0 件のコメント:

コメントを投稿