2015年5月8日金曜日
議員資格を付与する「試験問題」とは・・・
定数や報酬見直しですらあれほど紛糾するわけですから、
資格制限につながるかような制度設計に賛同する政党や現職議員がいるとも思えない。
国会レベルはまだしも、地方選挙だと「選良」という言葉の意味を疑うような惨状となるらしい。
以下は仮定の話であり、仮に導入できるならばってこと。
まず・・・
・現状の被選挙権要件に加えてということになる。
・一度合格すれば終身ということではなく、10年単位くらいで「盃改」をやりたいものだ。
・合否結果は公開すべきかどうか・・・ちょっと迷いますが、必須事項とも思えない。
・本人には点数開示まで必要でしょう(誤採点ってありますから・・)
難問は試験科目のコンテンツ
義務教育終了レベルの知識・教養を問う!・・ではあんまりかも知れません。
多額の国費をかける以上効果性も問われる。
もしかすると「義務教育カリキュラムの是非」なんて場外乱闘に発展するかもしれません。
事の本質は、義務教育終了レベルの知識を基層として、政治家に必要な「アート」を本当に
身につけているか?ということを問うべきである・・・って口で言うのは簡単。
最初にNETで言い出し、無条件反射的に賛同する愚を思い知るべしです。
かくあってほしいという議員様の期待値像はヒト様々です。
地域益と広域益のどっちが大事って・・・結構難しい(苦笑)
しかし、日本史を紐解けば、一定のレベラルアーツとしてある種の知識なり素養を求められた時代が
あったことを思い知るべきです。
江戸時代、歌舞伎や落語にうつつを抜かす一方で民衆の間では「太平記講釈」が爆発的に流行していた。
町内ごとの集会場では、頻繁に公演が行われ、いりが悪くなると
・・・明日より楠公出ず
一方では、大名や武士相手に講釈する「太平記読み」たちがいた。
その講義のタネ本がかの「太平記秘伝理尽鈔」である。
研究の第一人者、若尾政希さんの見解を引用させていただきますが・・
太平記の描く人物や事件を論評し、膨大な別伝を付け加えたこの本(理尽抄)は、
楠木正成を理想の為政者=仁君として描き出す「政道の書」でもあった。
戦国武将から藩の為政者へと変身(武から文)を余儀なくされた大名たちに
幕藩体制マニュアルを伝授する一方で思想家たちに決定的な影響を与える。
江戸の政治思想の基軸は、世間常識な朱子学系ではなく、
この「理尽鈔」こそがこの時代・社会の政治に関する共通認識の基盤となり、
太平記読みの思想こそが江戸の秩序の根幹となった。
さながら、司馬史観を代表する「江戸版坂の上の雲」って感じである。
理尽抄の哲学が正鵠をえたものかどうかは議論があるし、それは司馬史観も同様である。
そういうものが仮にあれば、試験問題集のネタにしてもいいってお話である。
まあ、当時の統治者階級(お武家)は、人口比で数%ですから、それなりの姿で収斂したのです。
そうは言ってもかつての必須教養書籍「太平記」の人気はいまいち。
古典文学全集と銘打てば、必見のスターターというわけにもいかない。
岩波の「大系版」は、新版ではレギューラー落ち
小学館の「全集版」は、新編になってやっと登場
新潮の「集成板」では、なんとかレギュラー
吉川の「私本太平記」なんか読み人がいるのでしょうか?
罪滅ぼしでしょうか、最近岩波文庫で「西源院本」版の太平記が刊行されだした。
なかなか読みやすい。
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