2015年12月2日水曜日

FOUJITA

パリが愛した日本人
あなたはフジタを知っていますか?


惹句の通り・・・浅学非才の身が知るわけがない。
ツグジだと思っていたが、本名はツグハルだそうだ。
陸軍人脈の周辺の家系らしい。
東北出身かと勘違いしたが、都会っ子である。

あの時代、祝祭空間としてのパリの寵児だったらしいが、表現するその映像は退屈である。
ある種の捨て駒かしら・・・
パリは彼を愛したかもしれないが、彼はそうでもなさそうだし、
愛はうつろうもので、必ずしも永遠でもない。

だからこそ、帰国後の倭の風景の圧倒感。
キャッチコピー的には「静謐ある世界観」というらしいが、どうでもいい。
オダギリジョー、中谷美紀、その他達者な役者連の抑制の効いた演技・・・っていうか自然な立ち姿が、
失語症的に「素晴らしい」ってしか言葉にならない。
千葉なんだろうか(?)疎開した江戸時代さながらの農村風景は遠野物語的でもあり、
これが、よわい古希を越えた佳作な天才映像作家のたどり着いた境地か。
失われた、そして忘れてしまった倭の風景に、パリ人のフジタが似合うのは皮肉である。
その倭国から指弾されたフジタの苦悩は、察するに余りある。
一部の軍歌がそうであるように、戦争画だって、戦意高揚・戦争賛美画というわけでもない。
再びのパリは、冷たかったようである。
洗礼を受け、礼拝堂の壁画を残したのも、けだし必然と言える。


実のところ、ホッとしてます。
小栗さんのこの作品がなかったら、今年の日本映画は総崩れ。

日本の一番長い日
杉原千畝
海難1890

なんか虚仮威し的な大作もどきだけで、映画賞を山分けする不毛の事態でした。
そうそう・・・中谷美紀さん主演の「繕い裁つ人」があった!








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