2017年9月16日土曜日

蝸牛庵の知らない遺伝学専門用語の世界





あるネット記事の引用。

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メンデルの遺伝学の訳語として使われてきた「優性」「劣性」は、
遺伝子の特徴の現れやすさを示すにすぎないが、優れている、劣っているという語感があり、
誤解されやすい。「劣性遺伝病」と診断された人はマイナスイメージを抱き、不安になりがちだ。
日本人類遺伝学会とも協議して見直しを進め、「優性」は「顕性」「劣性」は「潜性」と言い換える。

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ここまでは納得。
本来なら「優」という漢字に、発生確率の高さの意味はない(権威ある漢和辞典参照)
想像するに、英語で dominant と書いてあるからそのまま直訳したのだろう。
支配的、優越的と和訳されますが、この意味合いは「多数派」の気分が色濃い。
失礼ながら、最初に訳された先生は、バイリンガルでもバイカルチャーでも無かった。
明治のころの外来語の和訳の巧みさは一世紀を超えても燦然と輝くが、どうも遺伝学は・・・


ということで問題はここからで、ほかにも

突然変異は「変異」
変異は「多様性」
色覚異常は「色覚多様性」


実に面白い(^^)
突然変異は「多様性あるいは突然多様性」とはいわないのだ!
そもそも原語が違うということらしい。
いままでの変異は variation の訳らしいが、多様性なんて訳を当てますかねえ?
普通は、変化とか変奏ですよ。
ゴルトベルク「多様性」曲なんて言われると、バッハ先生が化けて出てくる。


objection と言いたいのが最後の言い換え
現在は色盲・色弱とは言わないようだが、色覚の異常性の程度を示すものでそれなりの意味はあるはず。
聞きかじりをひけらかせば・・・
色盲と色弱の違いは、医学的に網膜にある3種類の色細胞のうち1種類がない場合が「色盲」
一般の方より少ない場合が「色弱」
赤と緑等の色の見え方の「程度の差」を表す。

程度問題は様々ですが一定の職業においては適格基準として定めている場合もあるが、
それらの中には「色覚異常の無理解」に起因するものもありそうだ。


さて「色覚異常」は障碍かどうかということですが、どうも「多様性」と言い換える以上
障碍ではないといいたげであるが、それは妥当なのかね?
カラーバリエーションによっては識別に齟齬が生じる場合があることは事実だし、それに対してもガイドラインが定められていたはず
色盲でも世界が白黒映画のようにしか見えないということではないが、紛らわしい色使いに一定の配慮することは当然だし
特段それは障碍者差別とは無縁の世界。

どうも悪しき言葉狩りとか思えないし、言葉狩りが新たな差別を生みかねないって危惧のほうが大きい。
ちなみに「異常」という言葉はあちこち調べても差別語のライブラリーにはなかった。
もっとも、調べていると・・・

奇形は差別的だから「形態異常」と言い換えようってありましてね・・・こっちのほうがよっぽどって思うが・・




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