2017年9月15日金曜日

アルバ公爵夫人


スペイン国土を北から南まで自領だけを通って行けるようです。
一体どんだけの地所を所有しているのか?
ゲスの勘ぐりを鎧袖一触にするつもりか、資産の有高は非公開。
最近当代公爵夫人は亡くなりましたが、
遺産額は、蒐集品時価評価前で四千億円位だとか、、、
美術品は壁一杯に飾っても場所が足りず、その辺に積んでるそうです。

家格は、ウィンザー王朝に引けをとらない。
15世紀まで遡るスペイン屈指の貴族ですが、当代は稀代の整形マニア。
お若い頃の写真を見れば、﨟たけた美人だったのですが、なにを思ったのかねえ。
しかし、それよりも有名なのは、13代公爵夫人。
本名は文庫本で二行程度という長ったらしさ。
略して、マリアテレーズ(歴史上同姓同名数多で錯乱します)

驕慢な行動
王妃との諍い
ゴヤとの浮名
あの裸体のマハのモデル?
毒殺と噂される末路

時代を代表する「悪女」なのですが、西洋史のお騒がせオンナには
目のない澁澤龍彦が不思議と取り上げない。
彼は異端文学専攻の仏文科卒ですから、スペインは守備範囲ではない...とは
言わさない。
スペイン王室とは、ハプスブルク家とブルボン家の分家である。


ゴヤとの浮き名って正確な表現ではない。
なんせ八十歳以上も生きた絶倫の画家ですから、今風に言えは公爵夫人のセフレ、まあ男妾。
当然肖像画も書いてます。
複数枚ありますが、最高作は「黒衣の公爵夫人」
依頼により描いたと思うのですが、肖像画そのものはゴヤの手元にあり、
遺産としてぐうたら息子の手に渡り、いまはアメリカンのどっかにあります。
手元に残った理由はよく分かりませんが、公爵夫人の不慮の死か、ゴヤの心の問題か?
前者ならば退蔵され、人類遺産上不幸なことになったかも。
美人に描かれているとは思わないが、逝去された当代に面影が
似ています。

その後しばらくして、ナポレオンの侵攻を契機にスペイン全土に未曾有の災厄が襲い
ゴヤが一連の陰惨な版画集を密かに作成する機運となる。

戦争は戦争を生むとは、クラウゼウィッツだったか?
フランス革命はナポレオンを生み全欧に戦火を待ち散らかしたが、
その犠牲の上に近代フランスを産み出した。
しかし、スペインの惨禍は旧態然たる教会と王政にある圧政が復活しただけで
20世紀のスペイン動乱にまでつながり、結局立憲王政の復活なんて
現代に有るまじき体制に落ち着くしかなかった。

辺境なんて後進性の意味合いを内在させるとはロシアを見ても
やはりそうなんですよ。

0 件のコメント:

コメントを投稿