2017年9月11日月曜日

「藪の中」の横浜地裁〜本当に三度目?




実に素晴らしい!
実に実に素晴らしい!!


ベネチア映画祭のコンクール部門に出したらしい。
受賞の可能性からすればアカデミーの外国語映画賞のほうだが、
興行(海外配給の可能性)を優先したのだろう。
ハリウッドのリメイク権の方が儲かるわけでもないのか?

ある種のリーガルミステリーである。
余計とも思える枕言葉に意味がある。
真実を直裁的に語らないところは、羅生門に似ている。
と言うか、真実なんかはありはしない、とりわけ「法廷」に於いては....
でも、真実は存在します、但し「法廷上の」と言う形容詞がつきます。


過去に殺人罪を犯した男がまた強盗殺人を犯した。
今度は死刑を免れない。
何故に犯罪を犯したのか?

検察の見立ては金品強奪目的の強盗殺人
しかし、被告の陳述は二転三転する。

動機は解雇された怨恨で、財布は爾後奪取(この場合は、殺人と窃盗)
保険金目当てに被害者の妻からの請託殺人(これだと主犯は妻)
被害者の父親からレイプ被害を受けている娘たるJKの気持ちを忖度して(情状酌量でまず死刑はない)
とどのつまりは「俺はやっていない」(裁判員裁判ですから公判前整理手続で決まった争点がひっくり返れば「振り出しに戻る」...のじゃないの?)


何もかも尤もらしく思える。
一番有り気なのは鬼畜の所業への報復なのですが、土壇場で冤罪を言い出したもんで
公判は立往生。
こう言っちゃなんですが、司法の世界も役人の世界によく似ている。
それらしく阿吽の呼吸ってもんです(^.^)

横浜地裁はお邪魔したことは有りませんが、どうやら横浜税関をロケ地に借りたみたいです。
普通のリーガルミステリーならば、最後の最後に卓袱台返し、、なんだが....
判決言い渡しのシーンはいささかおかしいが、
この辺りは裁判長の裁量だから慣例に反しても法令違反ではない。
一審死刑は必ず控訴するはずだが、そういう雰囲気はない。
それは本人が望まないというのがまあオチ。


なんとも言えず、不愉快というかしっくりこないままの予定調和感が、
是枝監督の力量です!
しかし、残念ながらシネコンのオオバコは満員御礼には程遠い。
グランプリでも取れば、、、って皮算用は大抵外れる。


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