2019年12月21日土曜日

象は静かに座っている


チャイって、シナリオ段階の検閲にパスしないと
製作出来ないはずです。
よくぞゴーサインが出たものだ...というか、確信犯的な
検閲官に当たったのかもしれない。
かように心象風景的に陰惨な映画がよく作れたものだ。
想像を絶する葛藤なりがあったようです。
原作者にして監督は、完成後自裁。
二十代でデヴュー且つ遺作とはあまりに劇的


なんと四時間の休憩なしは...苦痛ではなく陶酔
永からぬ生涯を全てつめこんだ傑作...だとおもいます。


かつて炭鉱業で栄えたであろう街は廃墟崩壊途上
主役群は四人
それぞれに、立ち位置・生き甲斐・ヒトとの紐帯を失っている。
舞台は冬の山西省あたり
たわいないトラブルが主人公群の日常をかえてしまう。
行き場を失った彼らは...満洲の動物園のひねもす座ったままの象を目指す。

なんかのメタファーであることは百も承知
検閲官は「悠久の中華」だとあえて勘違いしたふり
成長発展するチャイは誰一人登場しない。

チャイナの富裕的な中産階級はざっと一億人
大凡、共産党員の数と同じというのが恐ろしい。
忘れられた民草の生きる不幸の様相とはそれぞれに同じものらしい

日常という名の緩慢な死
焦燥という名の無力感
倦怠という名の苛立ち

なんだかかような空虚なレトリックばかりが
アタマのなかで渦巻くんですよ。


定評ある映画批評サイトでは、今年の秀作のベスト20に
選ばれていますが、ウィキは英語版だけ

0 件のコメント:

コメントを投稿