2020年1月16日木曜日

面白ろうてやがて哀しきパラサイト


同じくパルムドールとは言え、
同じく格差社会を描くとは言え、出来栄えの違いは論を待たない。
しかし「同じく」と書いたのでは誤解を生む。
あの「万引き家族」は実際は二番手の評価であり、大騒ぎするようなものじゃない。
またまたフランス人記者が記者会見で食ってかかったものだから、
官房長官が狼狽しただけの事。
毎度のように...ご指摘のような事ではないとかなんとか
キデハナヲククルヨウにあしらえばよかったのよ。


格差社会を素材にすれば、なんでも映画になると錯覚したのかね?
有史以来初めて格差社会に遭遇したのかね?
資本主義勃興以前から世界は格差社会が当たり前。
一握りの王侯貴族に宗教家な富裕層と大多数の貧困層
資本主義が中間大衆層を育成し、
その中間層が没落した...と言う意味ならばネーミングが
よろしくない。
皮膚感覚的にアタシら中流だもん!なんて九割の国民が
誤解しただけの事。
誤解であったことき理解したのだろう。
最近あまり聞かないが...常態化したと言うこと

親代々あるいは生まれた頃からの下層民の話しは
絵にならないし、なんとも薄汚くしかならない。
中産階級が没落するからドラマが生まれる。
万引き一家は疑似家族だからよく判らないが、
元々が下層民みたいだ。
半地下家族は没落中産民だと見落としそうなショットが
教えてくれる。


半地下に住む一家四人が才覚を働かせてセレブの家庭の使用人を追い出し
家庭教師、家政婦、運転手として潜り込み、信頼を勝ち取っていく。
このロジスティックスが実に面白い。
そのまま家族をセクシャルに籠絡し、家産乗っ取りピカレスクロマン...
ならば、理屈の多いフレンチはソッポを向く。

予想外のこの後半のカタストロフの展開の冴えに
パルムドールが輝いた。
確かにオスカーも十分狙えるし、
既にハリウッドはリメイク権の争奪が始まっているに違いない。

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