2020年1月24日金曜日

陸奥のリア王(2)


髙村薫さんの「新リア王」は日経連載だったが、
確か途中で打ち切りになった...と記憶している。
さもありなんつと思うが、渡辺某のエロ小説を毎日待ちわび
山場は何故か土日に来るため、わざわざ近所のコンビニに奔るような
連中にはこの作品はハードルが高い。
とってつけたようなオチだが、その次の連載小説は
あの「愛ルケ」
三部作全体の評価はさておき、この小説だけをとれば...
アタシとしては、かのマックスウェーバーの名著が空虚に思える。
時代と世界が変わった...のか、極東の島国の政治の風景が異形なのか
職業としての政治を突き抜けて「家業としての」政治
職業政治家を超越し、世襲政治家が跋扈するさまを...
残念ながらマックスウェーバーは活写できなかったから
髙村薫が一肌脱いだって...まあ、そう言うこと


髙村が描く政治の世界は、
不効率と不合理と不実の掛け算の世界。
情熱と責任感と判断力から演繹される世界と同じものとは
どうしても思えない。
政治や政治家の劣化なんて...内実はそんな空々しい言葉が虚しい。


野辺地の福澤一族は、藩政以来の名家
かつては醸造業を生業としたが、時代の変化から
建築、水産に事業ドメインを転換し、閨閥を形成し、
政治にもうってでた。
制限選挙の時代は政治は田舎名士の道楽で始まったが、
いまや、政治が家業
代が変わり、福澤榮が君臨する。
自民党田中派の三役や大臣を歴任した長老政治家。
竹下に与せず、中間派を身を置いたことから黄昏は始まる
榮は、息子、娘婿、甥、姪、姪の婿を要所要所に配し、
つまり、ジバン、カンバン、カバンのそれぞれの管理責任者。
金城湯地な王国をつくりあげるが...
築城百年
落城一日
老いから来る判断ミスかなげやりな気持ちかはさておき
かのリア王さながらに一族郎党から裏切られていく。
オリジナルでは、献身的な三女のヘルプがあるのだが、
小説の世界の三男の彰之は...迷う出家者

あとの展開は...「太陽を曳く馬」
を読むしかないが、これってミステリー仕立ての難解小説。
北沢署の合田雄一郎署員が微かに登場することが伏線です。

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