2015年6月14日日曜日

みちのくの 安積の沼の 花かつみ



安積の沼もかつみの花も、いまや氏素性、存在は霞か雲霧の彼方。
平安時代には郡山市あたりにそのかたちをとどめていたらしいが、
かつみの花は、諸説紛々正体は杳と知れない。

見たこともない正体不明であることも、歌枕の名所たる条件。
しかし、たいした歌はない。
塚本の清唱千首に収録されない(多分そうだったと・・)のもその傍証。
そんな事より、陰気な語感は怪談果話の舞台に相応しい。


隠亡堀
累ヶ淵
数えずの井戸


怪談噺にはつきものなどんよりと漆黒に沈んだ水面。
これが登場するとしないとでは怖さも半減。
怪談とホラーは、本質が違う(・・どっちが怖いってこれではなくて)


怪談とは「因果噺」である。
原因と結果、それに伴う応報・・・・これが怪談。
通り魔殺人事件なんては怪談の扱う恐怖ではないし、意味もなく悪霊が取り憑くこともない。


覗き小平次(あるいは「生きていた小平次」・・)


日本映画全盛期には映画化されているらしいが、未見。
ATGで中川信夫さんで再映画化されたらしい・・・当時のことだから見ているはず。
でも、記憶に無い(調べるに宮下順子さんがヒロイン役だ」




小平次 :天下一品の幽霊役者、以外は大根以下。
オンナA:小平次の後妻。田舎お大尽の娘だが、美少年に魂を奪われ出奔
オトコB:小平次の一座の座頭 かつての「美少年」で陰間上がり
オトコC:一座の囃子方 陰間茶屋でAの兄貴筋
オトコD:凄腕の極悪素浪人 Bの父親殺し


とかなんだかんだと複雑な絡み合いの人物登場・・・
山東京伝の「復讐奇談安積沼」を粉本とする京極堂の一連のシリーズ本



なんとも言えない分厚さの「百鬼夜行シリース」は世界観が合わないが、
巷説百物語シリーズは、実に面白い。
ミッションインポッシブル奇譚ってな感じ

この「覗き小平次」は江戸怪談シリーズものですが、有名ドコロでは
残るは「真景累ケ淵」くらい。
明治の円朝大師匠以上の因果絢爛なアラベスクをいつ描いてくれるか楽しみです。
こちらの方は、四谷怪談ほどではないが、度々映画化されています。
最近では中田秀夫の監督作品がありますが・・・・
彼って「リング」シリーズで名を馳せましたが、因果ものは得手とは思えません。
ズバリ「怪談」ってタイトルですが、意余って力タラなさすぎ・・・
だから、怪談とホラーはやっぱり違うのですよ。(笑)











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