2019年9月6日金曜日

九月七日の野宮




斎王とは、伊勢または賀茂の祭神に奉仕する巫女で、
未婚の内親王が務めるのが習わし。
斎王に選ばれた内親王は、禊のため一定期間野宮なる場所に引き篭もる。


俗世に生きる事に疲れ果てた六条御息所は、
娘(故皇太子の忘れ形見)と共に野宮に蟄居しているが、
そこに未練たらしくヒカルくんが訪ねてくる。

舞台は、京洛嵐山あたり
頃は、九月七日

源氏物語は、能素材の宝庫である。
かといって、物語のセンターだからといっても能のシテとして
連投できるわけではない。

紫の上、葵の上、藤壺中宮はまったく登場しない。
逆に、夕顔、六条御息所は二度も
度々登場するには、それだけのドラマツルギーがあると言う事。
とりわけ六条御息所は、

身分
知性
容姿
立居振舞

あまりに申し分がなく、オトコにとっては息苦しくなる。
オンナも完全無欠が故にくずれることは矜持が許さない...
結果は不幸。
生き霊となり、夕顔や葵の上をとり殺す。

そんな半生を清算して、伊勢に下向しようとしながら、
未練が断ち切れない...なんて感じを謡いあげる大曲が「野宮」


斎王の制度が途絶して久しい。
黒田清子さまが伊勢神宮の臨時祭主をされていますが、
祭主と斎王は別もの
斎王の代理ということで斎王代なる制度がある。
半世紀以上の歴史があるが、福娘と違って誰でもなれるって
ものじゃない。
ヅカ出てます!って自慢しても、京都人は鼻であしらう。
母娘二代で選ばれるのが最高のステイタス。

選考基準やプロセスはまったくの闇の中なるところが
京都らしい。
ウワサでは...

京都にゆかりの二十代の未婚女性
倭の伝統にどっぷり浸かっている
多額の支度金が用意できる

ええとこのイトハンで、小さな時から
倭の習い事(舞、茶道、華道、着付け、所作)を詰め込まれ
悪い虫がつかない様に育てられないと資格なし。


これも絶滅危惧種かも知れないが、
親の虚栄心で結構長持ちしていますなあ(^.^)

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