2019年9月9日月曜日

安市城




民族の統一と団結
怨讐や反目を乗り越え、国家と国民の為身命を賭して...
冷笑家のアタシですらウルウル
況んや血の気の多いコリアンはさらなり。
大ヒットだったらしいが、それなりの出来栄え。
たかが娯楽ですが、いくつか気になり...

唐の太宗(貞観の治で名高い史上稀なる名君)が
高句麗を攻略。
安市城なる辺境都市の城主が数十倍の敵軍を迎え撃つ。
太宗は矢傷を受けて撤退。
以後高句麗攻略不可の遺言を残し崩御...
が、その後も手を替え品を替え攻略し、高句麗は滅びます。
負傷が原因で崩御したのか、そんな遺言があったのかは
判りません。

当時は、高句麗、新羅、百済の三国時代だと教科書には書いてますが、
高句麗が朝鮮の一部と見做すかは疑わしい。
民族的には東夷よりも北狄
最大版図は満州からロシア極東に北鮮部分が付け足されたようなもの
中国の歴史観だと辺境史に過ぎないが、満鮮遼東史という方が相応しい。
この辺りは国際政治の思惑が絡み、なんとも言えない。
満鮮一体史観は、戦前の東洋史学者が力説しましたが、
けだし大陸進出のお先坊。

唐の侵略と言う見立てですが、親唐派の国王が暗殺されたことによる
宗主国の膺懲。
侵攻とはいいにくいので、攻略とします。
安市城の主人(映画の主役)はどうやら親唐派のようですが、
ことここに及べば...負けるかもしれないが売られた喧嘩は買うしかない。
なかなかカッコいいナイスガイです。
太宗は冷静毅然、唐の軍人も悪鬼羅刹のような描き方はしていない。
...配慮かな?
むしろクーデター派の高句麗の将軍が悪人に見えます。



地政学的には超大国が小国を鎧袖一触に滅ぼそうって事ではない。
アウェイでの戦いですから、ロジスティックがものをいう。
唐の敗因はそういうことのようですが、クラシックローマのように
面倒な事はしない。
お得意の謀略を巡らし、新羅を引き摺り込み
背後から斬り殺したのです。


昨今の国際政治がスクリーンの裏側に垣間見得ます。

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