2019年11月13日水曜日

男殺淫蕩地獄



船場の女系の商家には老舗が多いと言われる。
お店大事、お家大事ですから、
出来の悪い息子さんは、統治も君臨もせずに、
家業から離し、放蕩三昧が一番。
下手にビジネスをさせると屋台が傾く。
実直堅実で商売がわかっている番頭を入婿にして事業継承
しかし、家業愛と家族愛の折り合いを上手くコントロール出来ないと
悲惨な結末になる。
家族は一代、家業は末代
泣いて馬謖の斬れないと経営者失格だし、家業のみならず
家族も崩壊しかねない。


近松の傑作とされるが、永く日の目を見ず、
明治になり復元公演...これが馬鹿当たりして、今や鉄板演目。
映画化された数からしても、人気度合いがわかります。
しかし、浄瑠璃本読み返しましたが、エピソードがキャベツで
いりくみあんまり面白くない。
いろんな解釈付けができそうだし、素材になりやすいから
巧く刈り込めば面白くなる。


油問屋のドラ息子
育てられ方を間違えたのだろう
新町(アタシの最後の勤務場所だった)の風俗嬢に入れあげ

お店のカネを持ち出す
社印無断借用で街金から借り入れ
番頭あがりの義父や実母が意見すれば...DV

万策尽き、勘当とあいなり、
釜ヶ崎の日雇いまで身を落とせ..ば、
ドラマにならない。
家業のため、非情になれなかったのが不幸の始まり。

帰る家もなく無一文で追い出されたんじゃ可哀想だと
両親は同業者の美人社長夫人からお小遣いが貰えるように
段取りをしたのが...運の尽き
暴行傷害、窃盗、私文書偽造くらいはまだしも...オンナ殺しまでとなれば



三面記事にありげな話
息子をただただ溺愛するだけではろくな事にならない。
セレブの跡取りって大抵がそうなのよ
さすがに殺人までは事例を詳かにしないが
違法薬物やら婦女暴行程度なら、ニュースにもならない。


十代目幸四郎主演の人気演目ですから、入りはそれなり
入り狙いの古典歌舞伎とお手軽新作ばかりを演じていては
大名跡の名が泣く...
新作なんて先輩の名舞台と比較されないから、
お気楽で緊張感に欠ける。
精進はこれから

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