2024年6月17日月曜日

つばめのいない夏

 




過去40年間に絶滅した脊椎動物の個体数は60%以上、欧州の飛翔昆虫の八割が姿を消した。

自然科学者は、これを「六度目の大量絶滅」とよぶそうな、、、


つばめの和歌、、、ついど聞き及ばない。
岩波の「八大集総索引」みても、出例は皆無。
王朝歌人の琴線に触れるような鳥さんではないみたいです。
一方、中国でも同じ渡り鳥でも雁は蘇武の故事もあって、人気鳥。

万葉集四千五百首のなかでは・・・たった一首

燕来る 時になりぬと 雁がねは 国偲びつつ 雲がくれなく

しかし、主役はあくまで雁。

 
 
 

無粋な(でも小利口な)鴉ばかりが、傍若無人に動き回り、つばめはもとより雀も見なくなった。
古来、稲作時の害虫駆除の益鳥として、大切にされてきたし、街中でも、ツバメの巣のある家は安全であるって言われてきた。
餌となる害虫が少なくなり、巣作り用の泥や枯れ草の入手が困難になったからか・・・やはり個体数が減り飛来数がへってきたのでしょうか?
 
ツバメは、飛来すると代々同じ家に巣作りをするそうです。
寒村の陋屋にも毎年、今頃・・・やってきます。
そう・・・「マレビト」みたいに(って折口先生ならいうのでしょう)
 
陋屋の玄関が両開きで間口一間、大きさで京間六畳程度の玄関口なんですが、
毎度、その玄関の内側に巣作りを始める。
普通は、軒先に作るのが礼儀だと思うのですが、
まあ、家主に似たのか傍若無人なんです。
そうなると、困ったことに、玄関戸を閉めるわけにもいかず、24時間、三寸ばかり開けたっきり。
無用心きわまりないが、マレビトさまの言うとおりに・・・
糞を落としたりもしますから、糞よけの棚をつくり・・・本当に我侭な
マレビト様がお越しになると大変です。
そうこうしているうちに、雛が生まれる。かわいくもあり、うるさくもあり
しかし、よく、巣から落っこちるんですよ(^^)
そうなると、出番は、捨て猫暮らしの長かった我が家の獰猛な愛猫の出番。
待ちぼうけの百姓よろしく、一日中、巣の下で雛が落ちるのをまちまかえている。
そんなこんなの風景も、十数年前に途絶えた。



レイチェル・カーソンが「鳥たちが鳴かなくなった春」ということで環境問題に警鐘を鳴らしたのは、62年のこと。女史は「六度目云々のような外連味たっぷりな」表現を使ったわけではないが、もう、半世紀も前のことです。
鳥の声はますます聞こえなくなっています。




 


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