地上の凡ゆる欲望が渦巻き、それが叶えられる街がNY。
代々の古書店を才覚のなさで潰しても別のビジネスで成功できる街がNY
冴えない中年の花屋のフリーターがJIGOROで人気が取れる街がNY
ウッデイアレン好みの映画のアイデアを癖のあるジョンタトーロが、
主演監督脚本と獅子奮迅の踏ん張りで小粋な映画にしたててしまった。
勝因は、常連客のセレブ女性の品質なりキャラクター。
レスビアンな皮膚科医が3P相手にってのはまだしも、
厳格な戒律に縛られるラビの未亡人にジゴロを売り込む・・・・これは秀逸(笑)
エスキモーに冷蔵庫を売り込むどころではなく、
元古書店主のセールスの才能は・・・才能とはどこに転がっているのか分からないのですなあ。
しかし、なんでもお金で売り買いが出来るNYでも、品不足な商品があり、
とても探しにくい商品もあります。
ハラールは、最近知名度が出てきたが、
それと同等に難儀なのがユダヤ教の特別な調理法に則った「コーシャフード」である
ユダヤ原理主義のハシディック派ともなれば食べてはいけないものも多く、
食材、料理方法、盛付けの作法の煩雑なこと。
ジゴロは、猛勉強をし、未亡人の為に煩雑な手順を踏んで、魚料理をご馳走する。
ここまでの心遣い・・・おもてなしに感動しないオンナはいない。
成る程・・・ジゴロの一番の特質は「優しさなりおもてなしの心」なのだ。
そして、本当の「おもてなしの心」だって、お金で買えるのだろうが、どこかれの商店で売っているわけではない。
お金を出しても買えないものとはそういうことなのだ。
ニックジャガーはイケメンではないが、セクシーだ。
そして、ジゴロはビジネス相手に心を奪われてはいけない。
にわかジゴロには、あまりに優しすぎてそこまでのプロ意識に徹することができなかった。
原題は「衰えたジゴロ」
FADINGってそういう意味なんですねえ。
お話の結末は、突然です。
エリックロメールの小品みたいにおわちゃうのです・・・が、どっこい
カフェで出会った小粋なフランス娘。
レアセドォみたいな感じで、唐突な登場と退場が余韻を残します。
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