2016年7月1日金曜日

帰ってきたヒトラー・・・たち


原作本とその映像作品は本来別物です。
例えば「忠実な映画化」って惹句ありますが、大抵はつまらない。ノベライズ版もそうです。
同じ素材を言語表現でも映像表現でもまったく同じ様に創造的創作を行うってあり得ないことなのですよ。

感じ入った文学作品の映画版に期待するもの・・・当たり前ですが「感じ入った以外のもの」を
味わい得るかどうかでしょう。
出来れば、原作品を読まずに薄暗い空間に足を運ぶ方がいい。



とかなんとか、早い話が、文庫本上下巻の原作を読んでない言い訳をつらつら書き並べただけ(笑)
それなりに説得力ある理由はあるつもりですが、さておき。


帰ってきたヒトラー


ドイツを中心にベストセラーな現代の寓話。
オリジナルタイトルはシンプルに「彼は帰ってきた」 Er ist wieder da
このタイトルの方がいい。
それだけで寓話的だ。

何度か前触れをやってますから、視点を変えます。
ここ百年ばかり、これでもかって位に「彼」は解釈・解析されてきたが、最近の描かれ方は「メタファーとしての複数形」

我々一人一人がプチヒトラーではなかったか
我々自体がネオヒトラーを希求し、世に送り出そうとしているのではないか

という心安らかならざる仮説。
独裁者による政治の経験に乏しい倭人には理解しにくい考え方かもしれない。
許しがたい戦争犯罪人であっても、水に流して・・・とか、総懺悔とかって性格の差かも
Aべ=Aドルフ・・・なんて駄洒落もどきな罵詈雑言しか思いつかないのですから。
底流にある「凡庸というか陳腐な悪」なるものを認めてたまるかってことかな?
個としての巨悪が無性生殖で突然変異的に産まれる訳ではないでしょう。
世の中には無為無用無駄なものは何も存在しない。
欲するから存在する。
今何故か、欲している様な向きを彼方此方で見かけるのです。




こんな日のこんな時間に客席はほぼ満席。
コメディなんですけど、クスクス笑ってるの僕だけ。
同時代風景と重ね合わせてインテリっぽく鑑賞してんでしょうなあ。
映画的には洗練されていないし、予言的に思い込むのも・・・
興行的には成功してます。
でも、たかが娯楽ですがな(笑)
行動に影響を与えるようなものではない.........という確信は次の機会に。

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