2016年7月28日木曜日

理想の家族





家業の金物屋の跡取りがいた。
美人のオンナを女房にした。
安アパートから、ちょっと中流系の戸建ちに家を建てた。
子供は賢げな男二人。
賎商なんかにはせず、背広に革靴、一流ビジネスマンにするのだ!
自分勝手な理想の家族像を当たりかまわず振りかざすことが不幸の始まりということに思いをはせる・・・わけがない。

長男は、期待通りエリート風・・・みたいな営業系ビジネスマンになった。
賃貸マンション暮らしだが、二人の子供
さあ、頑張るってところで、リストラ
クビになったと言えない毎日。
子育てに忙しい女房との心の距離はひらく
自分で選べることは、ただ自殺の方法だけ・・・・

引きこもりの次男。
心が崩れた理由は語られない
口先だけの一発逆転復帰人生幻想にかける日々
家父長的夫の前に思考停止な妻は主婦業はもとより、母業、妻業も放棄


こういうのが「理想の家族」らしい・・・・が、次男は発作的に連続殺人に及ぶ。
池田付属やアキバ連続殺人をモチーフとするような・・・本年度最大規模の問題作

なんと知らなかったが、実話同様に獄中結婚だって。
妻になろうってどういう神経でしょうか?

家族となって死刑囚のあなたとむきあいたい!

その役を、田中麗奈が、なんとも形容し難くリクルートファッションで演じるのですよ。
やっぱり、死刑反対派はカルトです。
鼻持ちならない身勝手な論理での迫り方は・・・・「メイワク」
迫られて受諾する神経って・・・なんとも不条理な「夫婦」の会話には顔がこわばる。


あの宅間守を主人公とするモデル映画だと思ってました。
不条理連続殺人犯の心の闇にせまる問題作だと思ってました。
ところが、センターは、あの金物屋のオヤジ
とんでもない・・・

自己中心
傲慢狷介
我儘
家父長     なオヤジ


葛城事件


本年度の邦画の最大収穫はきまったようなものです。
しかし、エンドマークに先には、感情移入できるものはなにもなく、日本アカデミー賞ではお声はかからない。


不愉快
吐き気
直視に耐えない・・・・という逆説的なカネ返せ映画。


スノブな神戸だと結構お客が入るのですなあ。
何処でこんなゲスな映画を聞きつけたのでしょうか・・・・まずまずの入り
シニア料金であっても暇つぶしに見るようなシロモノではない。


陰惨な殺人事件の映画的描き方の定番は・・・

被害者の悲劇
加害者の心の闇 ・・・・どっちも月並みです。


加害者の家族の葛藤って、ある意味で新機軸ですが、別に悔悟も反省も謝罪もなく、
われわれも被害者だ!(間違いではないが、それをいっちゃおしまいでしょう)
それぞれの「理想の家族」の崩壊劇。
オスカー(外国語映画賞)も狙える大傑作になったとおもうだけの作品ですので、いささか惜しい。
それぞれが個性的な熱演なんですが、どこか「つくりものっぽい」のです。
ありえてはならない現実とは、実際のところそういうものなのでしょうか?



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