2017年7月14日金曜日

「熟議」の実態





共謀罪は早々と施行されました。
身を守る為には、国会の質疑なんかを整理した体系的な解説書が
本屋さんに平置きになってもおかしくはない。
ヒステリックな反対本なんかよりも冷静な実務本が必要なんだが、
この辺を含めて商業司法は鈍感だ、というよりカネにならないからか(笑)


他方、改正債権法はさる六月二日に公布されましたから、
附則に従い三年以内に施行されます。
何時になるかは、売文法曹がいまねじり鉢巻で実務参考書を製作中ですから
その辺の刊行可能時期を見据えてってことなんでしょう。
実際のところ質的には「大改正」でもないのですがね。


迂闊な事に最近知ったのですが(当然改正されていると思ってましたから)
労働債権の時効は『変更なし』なのです!
民法原則は短期消滅時効がなくなり五年に統一されましたが、
賃金や残業代は二年、退職金は三年のまま。
あれほどのエネルギーで安保法制や共謀罪に反対するなら
ILOを巻き込んででもobjectionを唱えるべく事柄なんですが、
市民と称する連中の腹の底が判りますなあ。


時効期限をどう設定するかは債権者保護と取引の安定の中で
合理的に判断すべきものであり、短期消滅時効制度の対象とすることは
一定の合理性がある。
一番最初は一年だったらしいが、あまりに労働者に可哀相ということで
延長された。
短期消滅時効制度がなくなった以上短期である合理的な論理的背景がないし、
働き方改革の流れなんかを踏まえれば、解は明らか...のはずだが?
一体、法制審議会や議会でどんな熟議をやっていたのでしょうか?
巷では、馬鹿の議論は休むに似たり とか(^.^)


時間管理と賃金計算プロセスを適切に行なっているのは当たり前。
賃金台帳関連の資料は二年程度で廃棄するわけがなく
電子化も進んでいるはずだから文書管理の負荷が増えるわけではない。
改正に臆病なのは、ひとえに不払い残業代が5年間遡求することが
怖いと身に覚えのある連中がいるということ。
故意性があれば犯罪ですからなにも躊躇することはないのですがね。

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多分ですが、躊躇するのは「有給休暇の繰越」問題だと思うなあ。
法定制度は最低水準ですので一概には言えないが、
通常年間二十日。
前年度の繰越があれば最大で四十日。
なんか不測の事態があってもこんだけあれば、あと介護休暇、福祉休暇とか
最大限うまく制度を使えば、大抵のことはなんとかなります。

前年度分の繰越とは、短期消滅時効制度と連動していると
考えれば、なんと最大で百日有給!!となる。
いまでも、慣例に従い退職一ヶ月前通告後は有給休暇消化という
違法ではないが、仕事人のモラルとして如何なものか?という
事例がある。
それが三ヶ月前となれば、、、、経営者が頭抱えるのも
分からんでもない。

しかし、経験則から言えば、そげな非常識な社員はそもそも
仕事があまり出来ませんからダメージは限定的。
優秀で仕事が出来る社員であるなら、それは経営者の不徳。
顧みて反省すればいい(^.^)




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