2017年7月12日水曜日

ハクソーリッジ



非常に「難解」な作品です。
まず舞台設定が意図的に隠蔽されてます。
第二次大戦であることまではわかるのですが、OKINAWAとは思いもよらなかった。
倭国の公式戦史では前田なんとかの戦いとされます。
知っていれば多分足を運ばなかった。
沖縄戦をアメリカンの視点で見る事にはいささか躊躇する。
だから、硫黄島の戦いをイーストウッドは二作にわけてそれぞれの視点で描く
と言う「配慮」をしたのです。
今回の場合は興行への配慮でしょう。
いささか憮然とする。

主人公は実在のアメリカンです。
良心的兵役拒否者として初めて名誉勲章を受けた衛生兵。
しかし、彼は志願兵であったと言う設定。
当時は選抜的徴兵制度であったらしいので、徴兵されたから銃を持つのを拒否した!
なら判るが、志願して拒否はないだろう。
それらしく軍法会議の場とかで説明なり釈明がされますが蝸牛的には意味不明です。

実際に最後の負傷者まで救い出そうとするサクリファイスの精神には
感動を覚えるしかないし、実話そのものですから因縁の付けようがないのだが、
なんとも言えない齟齬感。
彼は軍役の間に百名近い負傷者を救出したとされ、
その栄誉は称えられました。が、しかし....なんなんでしょうか、この違和感!
狂気に満ちた戦闘シーンは、プライベートライアンのオマハビーチ上陸シーンを
遥かに凌駕する。
経験をしたくもないし、させたくもないが、
死ぬか生きるかの二択しかない世界で、第三の道を生きたいって、素晴らしいと言うより
ずるい...とまずもって思ってしまう。
それが違和感の基層なのかな??

彼の英雄的な活躍は部隊の士気をたかめ、最後のハクソーリッジの戦いはアメリカンの
圧倒的な勝利に終わりました。
日本軍は卑怯な偽装降伏だとか、司令官の割腹自殺とか。
でもあれじゃ小塚原の斬首であり介錯じゃない。
今まで7回も撃退されていたのに...
別に「七転び八起き」を言いたいわけでも無さそうですが、

the ups and downs of life

主人公であるデズモンドドス氏の人生そのものがそうであり、
満足な長寿であったようです。




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