2017年7月16日日曜日

突然炎のごとく



繊細にして大胆
放縦にして理屈の多さ
晦渋な象徴詩風な台詞回し

何故かオリジナルタイトルだけがありきたりに「ジュールとジム」
複雑に自転する惑星の周りを公転する衛星の名前。
片やドイツ人、片やフランス人
惑星の名前がタイトルにはないのですが、カトリーヌ


そうなのです。
定番化された三人の男女の心理劇。
トリニティとしての座りの良さは「オトコ二人にオンナ一人」と
決まっているが、ヌーベルバーグのアンファンテリブルは、
容赦なく屈曲感たっぷりに描き出します。


和の古典であれば、真間の手古奈、菟原処女とも、求愛する二人のオトコの狭間で
進退極まり水面に身を投げるのですが、
自立自存するジャンヌモローはそんなヤワな玉じゃない(^.^)
無理心中的にジムを道づれに投身自殺。
残されたジュールは、おくりびととして散骨を....

時代は第一次大戦前後。
カトリーヌが自殺したのはヒットラー台頭の頃というのは寓意的。
62年製作で日本公開はその二年後。
この年のキネ旬ベストはヌーベルバーグ一色と北欧、東欧ておしまい。
そんな時代の無冠の宝石なのです。


突然炎のごとく と言う文芸の香り満載の絶妙な意訳で初公開
99年の再公開時は、突然炎のごとく(ジュールとジム)
なんとも説明的で苦笑します。
多分ですが、しばらく前に絶妙表題を盗用した邦画があり、
一応別物風にはなってますが、
観客の混乱を避けるため故と思われます。
法的に知財侵害にならないとは言え、映画人のモラルに於いて
やるべきことではない。
今回上映では、突然炎のごとく(1962)




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