2017年7月9日日曜日

高い窓




いやはや、最近のアーティストとやらは、オリジナリティある楽曲タイトルすら
創造できないらしい(名の通ったシンガーソングライターの作品タイトル)

ロンググッバイ
三つ数えろ
さらば愛しき人

世界の文学史に残るかどうかは疑問があるが、その辺の純文学とやらよりは遥かに
支持率が高いこれらの作品群のタイトルをお手軽に自作タイトルに使うとは
どういう感覚かねえ?
著作権侵害でなければ何をやってもいいわけじゃ無い。


蝸牛にとって「スキヤキとハルキ」は、多分食わず嫌いなんだろうとおもいますが、
だからと言って食べる気読む気は全くない。
しかし、作家ハルキは嫌いでも翻訳家ハルキは好きです。
彼のご幼少期は、しばらく前の蝸牛庵のあたり。
ハルキスト御用達のカフェなんかもありまして、なんとか賞発表の頃は
閑静な高級住宅地にあるまじき喧騒(๑˃̵ᴗ˂̵)

チャンドラーの作品は短編集まで一通り読みましましたが、
清水俊二さんの訳は失礼ながら読みにくいし、意訳も多い。
引き換え、ハルキはサクサク読めます。

彼の自作は....

平明な文体
晦渋な物語 らしいので、翻訳本しか読まないという選択は
適宜適切だと自賛(笑)
翻訳ひとつで、愚作が名作になる事はないが、
傑作が駄作と思われる事は多々ある。
後者の例はさておき、前者ならば「スカーレット」だ。
森瑶子さんの腕をもってしても、風と共に去りぬの続編はつまらない。
語学に堪能な作家は、駄作を書くよりも翻訳に徹する方が
出版業界に貢献する。


高い窓


1942年の作品でマーロー長編シリーズの三作目。
ハードボイルド特有の道具立ですが、入り組んだ展開が破綻、矛盾することなく
すっきりと展開します。


証拠を丹念に拾い上げ、美しいパターンにまとめ、
あちこちのポケットに隠し持った複雑な断片をうまく忍び込ませ、
動機と人物像を分析し、誰もが(往々にして私自身をも含め)
推察したのとガラリと異なる真相を暴き出し、
黄金色に輝く結末へと一挙に導いていくんだ。
そして最後に世界に倦んだような表現を顔に浮かべつつ
もっともそれらしくない容疑者に颯爽と襲いかかる


マーローの台詞(ハルキの名訳!)ですが、
ハードボイルドの真髄をここまで適確に表現した例は
寡聞にして知らないし、この小説はめずらしく大成功している。
映画化されている事を初めてしりましたか、知らないはずだよ、劇場未公開。
俳優さん達に華がなかったからかな?







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