モンテーニュの時代にくだること一世紀。
ラロシュフーコーの「マキシム」の一節(多少換骨奪胎します)
政治は徒党と陰謀である。
仏蘭西文藝の源流にあるのが、人間洞察を突き詰めた一連の警句集。
16世紀から17世紀
アンリ四世からルイ13世までの混迷の時代。
強烈な信仰心に支えられた罪と罪が応酬しあう不幸な時代。
三銃士では遠景に過ぎないが、剣士が勇猛果敢にサーベルを
振り回すのは全体的には点描に過ぎない。
これらのモラリストの成果物が、
あの19世紀の細やかな心理描写な姦通小説(といっても文学史に残る傑作群)や
今に至る理屈の多すぎるフランス映画の母なのです。
多少出自を異にしますが、モンテーニュもロシュフーコーも
田舎の在地領主貴族であり、才能を買われ中央政界で、
辣腕をふるい、林住期ともなれば、
波瀾万丈な人生で得られた智慧を書き留める隠棲生活を送った。
辛気臭い生き方ではあるが、酒とオンナで身を滅ぼした悲惨な晩年より
ましかどうかは...
そういう性格破綻の芸術家を数多く生み出したのもお仏蘭西(^-^)
フランス語のモラルとは難しい言葉だ。
男性名詞と女性名詞では似て非なる印象を与える。
普通は、道徳的だとイメージされるが、信念に裏打ちされた気概
という語感で、描かれるのがモラリスト。
愚直勤勉節約家とは縁遠い。
浅く読めば、上品な悪魔の辞典風だが、書き手の原体験を重ね合わせれば
そのような軽口を叩く余地はない。
然もありなんと思いますが、これらの警句集には、キリスト教に
対する言及が少ない。
書けば、冷やか、辛辣となり、発禁を恐れたのかもしれない。
しかし、戦乱の中でもまれたモラリストはそんなにヤワではなかったのでしょう。
あの時代、改宗がかくも簡単とは恐れ入る。
アンリ四世に至っては、カトリックとプロテスタントの間を数回
行き来している。
893の世界では盃外交というらしいが、あの時代は
改宗外交が当たり前。
そんな連中の末裔から、
結婚式はキリスト教、
葬式は仏教、
お詣りは神道...
日本人って宗教的に無節操だとさ?
あんたらには言われたくない(^-^)
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