読み書きは文明の礎石である。
これを実感するのは、漢字(正字)やローマン体のアルファベットがまるで存在しない土地に旅した時。
出不精のアタシだって、多少の経験はある。
自身がヒトザルとして欠陥があり尊厳そのものが傷ついたように骨身に染みいた。無論識字能力がなくても生きていける社会がこの地球上のどっかにはありそうだが、だからといってそんな世界に住みたいとは思わない。
事象を対象化し再認識する作業がこなせるからヒトザルがヒトザルとして存在し得る。
三本の映画を並べてみます。
いずれもカネのかかった作品ではないが、名優が顔を揃えています。ギャラが安くとも演じてみたいテーマだということなんだろう。
最初の作品は文盲である秘密を守るため雇い主一家を惨殺する下女(ローフィールド館の惨劇)
次はホロコーストに加担したという罪にかけられた女性。文盲の彼女は不能犯となるはずだが、彼女は冤罪を被ってまでも自分の秘密を守る(朗読者)
最後は、、、ちょっと甘いのですが、文盲のデニーロがジェーンフォンダの助けを借りて文字を学んでいく多少元気の出る作品(アイリスからの手紙)
文字にせよ記号や符号はその意味をしならければ、不可解意味不明な文様でしかなく、その不可解さの深層から意味合いをたぐり寄せる、、、あのホームズの「踊る人形」を思い浮かべれば分かることだが、天分そのもの。
シャーロックホームズは、子供の落書きめいたものから「有意差のあるなにか」を探り当てたのです。
シャーロックほどの天分はなくとも、ヒトザルはそれぞれに文様から意味合いをイメージする。
この先は、アタシの知らない世界だからある精神科医の弁を引用します。
意味合いをイメージすることとは「統合力」である。
その統合力が失われた世界は見慣れぬ不気味な存在であり、当惑や猜疑心が生まれ、、、妄想や幻覚に発展する。
その病態を我々は「統合失調症」と呼ぶのです。
つまり、、、狂気に陥りたくなければ、読み書きの鍛錬を欠かさないことが肝要だと、この精神科医は示唆するのです。
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