黒髪の魔力
One hair of a woman draws more than a hundred yoke of oxen.
一つの頸木に二頭の牛を繋ぐようですから、百頭ではなく二百頭が正しいそうです。
オンナの髪に「魔力」があると考えるのは東西を問わない。
その魔力はオンナ限定ではなく、旧約聖書に登場する怪力無双のサムソンのパワーの源泉は「髪の毛」である。
しかし、むさい男よりも美の象徴としての「黒髪」の方がいい。
オンナの黒髪をモチーフにする詩歌には事欠かないが
白眉はこの元和歌とその「本歌取り」
本歌取りとして出色の出来栄えとされるが、、、これは禁じ手です(定家自身がそのように論じています)
だから本歌取りとして並べて鑑賞するのは明らかな間違いであり、和泉式部の贈歌に対して定家が返歌をしたという時空を超えたメタバースの世界だということ。
和泉式部は十世紀から十一世紀にかけての歌才抜群恋情奔放な、、美人かどうかは知らないがよくモテたキャリアウーマン。
藤原定家はそれから二百年余り時代を隔てる。
偏屈な性格だったが、それが「幸いし」後鳥羽院に疎まれたため承久の変以降出世街道まっしぐら。歌学を今の冷泉家に伝える。
二人とも戀詩の名手ですから、実に巧妙です。
返歌だと思えば、
かきやりし
黒髪
うち伏す
のリフレインが冴えますし、黒髪の一筋一筋に面影が宿る、、、ってよくぞ言ったり!
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