2024年10月9日水曜日

傲慢と善良

 


小説が売れない昨今、百万部も売れたのならたいしたものだ。なんとも硬質なタイトルが、売上に寄与するとも思えないし、、、

一見して「聞いた事ありげな語感だなあ」と知の大伽藍が囁くが、案の定、百ページあたりでネタバレ。

ことさら解説ぽく描かなくてもいいと思うが、今時はジェーンオースティンなんか読むひとも知る人も少なくなったからの親切心だろうなあ


公開中の映画だが、食指がそそるほどのものでもないものの、とりあえず公設貸本屋さんに予約登録すれば、なんとなんと!


400人待ち


売れる小説、読まれる文芸は映画化作品に如かずなんだが、映画化される事が良書を担保しないし、映画見たから(映画見るから)が食指を伸ばす理由ならば、

この小説の順番が回って来る頃には、既に上映は終わり動画配信サイトまちかも(^^)


世界十大小説で恋愛小説の至高と絶賛してやまないネタ本の主人公たち

ダーシー君は「高慢」そうだし、ベネット嬢は才気溢れるが故にダーシーに「偏見」をもつ。そんな感情のもつれが19世紀はじめの英国の田舎社会を背景に展開されるのだが、、、このベストセラー小説もミステリー仕立てにした恋愛小説みたいだ。


このオースティンの「高慢と偏見」を下敷きにした作品はあまたあり、有名どころだと.....


原作も映画もバカ当たりしたのは慶賀の至りであり、この辻村深月作品も二匹目の泥鰌になる、、まさか


ちなみに、この作者さんって、、、やっぱり女性だった。



一応文芸批評なんだから、少しはこの「恋愛ミステリー」とやらにも触れなくては(^^)

婚約者(恋人でも配偶者でも構わないが)の突然の失踪を契機とするひと探しテーマはごまんとある。

そのためにその失踪者の過去と向き合う、、、

文庫本の帯には「恋愛ミステリー」とあるが、謎や不可思議な事の究明ならば、なんだってミステリーだ。

恋愛ものには間違いはないが、むしろ婚活小説あるいは婚活ガイドだろう。あるいは失踪したヒロインの教養小説。

恋愛小説ってあまり食指すすまない。大抵はキッタハタの痴話話。そんな絵空事にはリアリズムがないから共感の余地はない。

しかし、この小説の読ませどころは、結婚紹介所を営なむ初老の品良きおばさんのマッチング哲学

高婚化とか未婚化とか、、、だかマッチングサイトや合コンビジネスは隆盛を極める。

諸般の理由で結婚できない・しない例はあるのだろうが、一般に言われる理由は的はずれ(とこのおばさんは言いたげ)だから、出会いの提供だけじゃ成功率は高くならない。

百万部の読者の圧倒的な支持とはその一点!

映画版の出来栄えはわからないし、興行成績にも興味がない。この小説のキモが映像化出来るとは思えないから、、、まあそう言うこと。


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