2017年3月2日木曜日
雨過天青
残念な事ですが、蝸牛のiPad Airの辞書では一発変換しません。
通常は「雨過天晴」と書き、雨上がりの晴れ間という状況、
更に転じて物事が好転するって意味合いに使うようです。
天邪鬼な蝸牛庵だから「雨過天青」なんて気取った書き方・・・・じゃなくて、本来はこれが正しい。
雨過天青雲破處
五代の時代の後周皇帝の厳命の一部の表現を由来とする。
雨上がりの雲間からの蒼天の色を陶器に写し出せ!
なんとも無理難題ですが、陶工たちの辛苦は、北宋汝窯(河南省)において実現した。
窯変・・・曜変だとか油滴だとか禍々しい偶然の色調を有難がっているうちは
まだ本当の陶器を知らないのだ!と言いたげか、曰く「神品至宝」
陶器の色彩は、この雨過天青なる青磁を随一とする・・・・と勝手にも思ってしまいそう(笑)
ともあれ味わい深く同じ青でもチンホア(染付)は個人的にお好みじゃないもんで・・・
大阪市立東洋陶器美術館
あの安宅コレクションが某財閥グループから建物と運営費付きで寄贈されたのは、相当に昔
今や、そんな財力は残念な事ですが・・・それに皆さん箱根の向こうに行ってしまった。
その美術館で「北宋汝窯青磁水仙盆」を六品展示公開中。
台灣國の國立故宮博物館の所蔵品の一挙公開(漢字の保守本流国ですので敢えて正字で)
チャンと「國立」という言葉を入れることが開催者の見識。
違いますねえ。
台北故宮からの強い要請でしょう。
なんせかの虚報新聞社も主催者の一人で、
かつて台北故宮の展示会で「國立」の文字を外すという蛮行の歴史を持ってますから。
見様によっては凡庸とも思えるあまりスッキリしない蒼天の色彩
でも、美を極めるとこれが一番素晴らしいと思えてくるのでしょう。
朝鮮青磁に比べ、青味が薄灰青。
何時迄も眺めていても煩くない。
この「水仙盆」
何に使ったのか?
用途は不明というのが通説ですが、
盆栽の鉢ともいわれますが、如何なものか?
気の利いた板前に付き出し三品なんか綺麗に盛り付けて貰い食べてみる。
有難がっても、陶器は生活雑器。
使い倒してナンボなんです・・・・とはいうものの、箸先が震えそう。
話戻して「神品至宝」
和訳すれば人類史上最高の焼き物という事ですが・・・
無紋(姿形、色合、貫入瑕瑾有無含め完全無欠と言われる)一点
その清代の仿製品一点
普通の汝窯青磁水仙盆三点
安宅コレクションの同一点
全ての汝窯青磁が神品至宝ではなく「無紋」だけをそういう。
素人目にも出来栄えが全く違う。
次元というか世界が違います。
本当に最上なるものは、最上品の比較により更に輝きをますようです。
一瞬背筋が寒くなり泡食って、グーグル検索をやった!
良かった(笑)
安宅コレクションの水仙盆は重要美術品ですらない。
あの程度(と言うとまことに失礼ですが)に然るべきお墨付きを与えていたら、
見る目がないって事で世界的に国恥ものだった。
蝸牛はこの美術館開館時に鑑賞したが、さしたる印象を持たなかったのは、正しい審美眼だったのですよ(笑)
弥生下旬頃までの展示ですので、お早めに・・・
見逃せば、台北故宮まで行けば済む事ですがね(笑)
それも面倒ならば
湘南あたりにこの名前の銘酒があるそうな。
当然に純米大吟醸。
飲んでみてはいかがか(クラフトビールもつくっています)
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿