2017年3月21日火曜日

改めて「ベスト・アンド・ブライテスト」




分冊ベースで二桁になるような長編ばかりを再読してきたので、ちょっと「軽め」を読んでいます。
故人となりましたが、ハルバースタムの傑作です。
三分冊ですから分量としてもしれてます(苦笑)

60年代のアメリカ政治史(特にアジアン介入史)・・・だと思えばいい。
おりしも、ケネディの登場
末路が衝撃的だったので、神話化してしまいましたが、60年の大統領選挙は大接戦だった(国民的な熱狂的支持とは後世の伝説)
共和党候補が勝っても不思議ではなかった。
以下が最終結果(民主党対共和党の比較でサードパーティを除く)

獲得選挙人 303 219
勝利州数 22 26
得票数(千票) 34220 34108
得票率(%) 49.7 49.6

マフィアも暗躍する不正選挙の山だったと今では言われていますし・・・JFKのキャッチコピーが笑っちゃいますが

make america restart again!

・・・かどうか知りませんが「アメリカを再度始動させる!」だった。


物語は、そんなこんなな選挙運動ドキュメンタリーではなく、その後から始まる

若くてハンサム
富裕な名門の出身
きらびやかな学歴に軍歴
美人の奥さん

ヒトザルが欲しいと思うものはすべて与えられ、東部のエリートといわれるすべての才能(人材)までも手にし・・・・
でも、肝心の「統治能力」だけは、意地悪な神は与えなかったっていう物語です。
情熱と責任感はあったのでしょうが、判断力がなかった。
仮定の話だが、キューバ問題やベトナム戦争の行方が共和党政権・ニクソン「大統領」だったらどう対処しただろうか。
まあ無意味な課題設定ではありますがね。
ケネディ批判をやれば、剃刀を送りつけられそうなので、あえて逃げ道を作れば・・・
自分のやりたい事が出来るのは二期目に入ってからと言われますから「悲劇が全てを摘み取った」と言う事で。
でも、歴史にIFはご法度。

ハルバースタムは、NYTのベトナム特派員として、ベトナム戦争を「泥沼」と決め付け、
JFKに批判的な記事を書き連ね、あやうくクビが飛びそうになったらしい。
ハーバードを出た一流のジャーナリストではありますが「ベス・トアンド・ブライテスト集団」・・・お友達知識人集団
とまでは思ってもらえなかったようです。
しかし、賢者達が愚行の山を作る・・・とい背筋の寒くなるような出来事が頻繁に起こった時代
別に60年代のアメリカだって事ではなく、いつでも何処でも起きるのですよ。


倭国の「名門」大企業って・・・ある意味で「ベスト・アンド・ブライテスト」集団なんですよ。
いい大学を優秀な成績で卒業して、加えてええとこの二世お坊ちゃんってこともおおい。

羊が獅子集団を率いるって非常にまずいのですが、
獅子が獅子集団を率いることにも問題が多い。
その獅子が傑出した獅子ならばまだしも、そんな獅子はめったにいるものではなく、自己顕示欲と能力の高さのみで
角つき合わす集団の果ては想定の範囲でしかない。
そのような獅子は滅多にいないから・・・・稀に「名経営者」と賞賛される人物が登場する。


あの名門重電メーカーを見ていて・・・・そんだけじゃなくて個人的なルサンチマンも含めてそんな風に
思っちゃうのですよ。
ラグビーやサザエさんなんかはよう辞めんかいな。
継続することの社会的責任云々の前に果たすべきより大きな責任があるだろうに。
堕ちることまで落ちないと学べないのがヒトザル。

再度言いましょう・・・賢者は愚行を繰り返す













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