2020年6月23日火曜日

源氏物語殺人事件



紫式部と清少納言は、対抗心もあらわなライバル同士...
お互いに上司が妃の座を巡って争ってましたからある種の代理戦争。
しかし、直接対決はなかったはずだ。
上司が逝去し納言がリタイヤした後、レディMが登場。
過去のヒトを悪様に罵っても、納言のカウンターはない。
むしろないのが当たり前である。

さて大河ドラマですから、あまたある派生作品の完全なカタログにお目にかかった事がない。
ウィキペディアももれまくりで意味をなさない。
だから、そこそこの国文学の大学の先生の手になる
源氏物語ミステリーがあるとは露知らず...
確かに多くの派生作品があるとはいえ、ミステリー仕立てはききおよばない。
源氏物語で人の死をドラマティックに扱う場面は

夕顔
葵上

しかし、どちらも六条御息所の生き霊の仕業
動機も判明していますし、いまの刑法ならば「不能犯」で
かの高貴な女性は罪には問えない。
あとは、イジメ、ネタみ、あてこすりからの心痛で
命を落とす...

桐壺
柏木

しかし、この程度のハラスメントを犯罪とは言い難い。


岡田鯱彦作の「薫大将と匂宮」
昭和25年頃の作品だが創元社からの復刻版
派生作品としてとんでもなく盛り沢山です。

ミステリーの狂言回しとしての探偵役を納言とレディM
舞台と時代の設定は、宇治十帖の後日談
つまり。尻切れトンボの結末の先の物語
それが、自殺とも他殺とも判然としない連続事故死ですから穏やかではない。

薫大将の妻となった浮舟の二度目の入水
匂宮の北の方、中君の入水
決め打ちが匂宮の入水

宇治十帖自体が、三角関係、四角関係の煩雑で理屈の多い
痴話話...
この果てに痴情のもつれからの刃傷沙汰や世を儚んでの自裁が
ない方がおかしい。
理屈の多さは...

偽装自殺を装う殺人事件
殺人事件の犯人に陥れようとする自裁

限られた登場人物ですから、被疑者は

薫大将
匂宮

に限られる。
読んでて改めて気がついたが、二人のヒカル君由来の貴公子は
ヒカル源氏の陽と陰のキャラ分けです。
なんでもかんでも二極化に還元する安易な手法なんですが...
学研肌の込み入り方が名作にならなかった所以。
でも、源氏物語フリークには実に面白い。
幼くして世捨て人な薫君は、終生優柔不断のまま
太政大臣に上り詰めました。

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