オスカー作品賞の初日公開にあるまじき入りの悪さ。
確かに賛否両論あるだろうが、実のところ難易度の高い映画で大衆的ではないのです。
第三作まで作られたブロックバスター映画であるバードマン(アメコミダークヒーローもの?)の主役俳優も、
今や落ちぶれ、起死回生をかけたブロードウェイの舞台進出。
NYの演劇人は、ハリウッドアクターには冷ややか。
様々な苦闘を乗り越えての初日公演。
・・・とまあ、定番のバックステージカムバックものを期待した向きには当て外れ。
その程度ならばノミネートもあぶなかった。
主役のマイケルキートン自身、バットマン役者以降鳴かず飛ばず。
なんか自伝的な所も話題の一端。
しかし、プロ映画鑑賞家の極私的傾向主義に照らせば、
オリジナルタイトルを「誤読」した事による興行戦術の失態である。
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)
Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)
まず、眼光紙背に徹するくらいにこのタイトルを睨みつける(笑)
この「バードマン」とは、かつて大人気だったアメコミヒーロー映画のタイトル。
鳥人間というだけあって、飛翔能力やその他様々なオカルト的な能力も持っているらしい。
NY演劇人なんかだと歯牙にもかけない駄映画に違いない。
次に「あるいは」
副詞なのか?接続詞として使っているのか・・・ってところが解釈の分かれ道。
接続詞であれば、そのうちのどちらかという関係にある二つのものをつなぐ語として使われますし、
同類の事側を列挙しその多様性の表現に使われます。
まさしく、英語の「OR」そのものである。
次に「括弧」
日本語の語法には、元々は「括弧」なんかなかったと思われます。
明治以降の輸入産品。
使い方によってはなかなか便利で、通常は、説明文自体または読み飛ばせる追記事項
などを書く場合に使われる。
しかし、バードマンの説明あるいは追記なのか、あるいはのそれなのか・・・?
判然としません。
最後に括弧の中の文章・・・
かなりな意訳が行われています。
この単語で「奇蹟」を意味させるのは相当に無理です。
通常は、善とか美
修飾する形容詞が「予期しない」はまあいいとして、
予期せぬ美徳
無知
・・・を接続する「OF」の意味合いはなんなんだ?
この接続詞の属格は非常に難解で、
無知という性質の一部に予期せぬ美徳が含まれるって理解が普通だが、
もたらすという解釈も間違いではない。
そもそもこの括弧内の言葉は、NYの辛辣な演劇評論家の書いた舞台批評記事の一節である。
ブロードウェイ演劇の守護神を自負するこの評論家にとって、
ハリウッドの落ち目のムービーアクターなんかはおよびではなく、
批判的記事で鎧袖一触に葬り去ろうと考えていたが、さにあらず・・・
しかし、手放しで褒めれば自尊心が傷つく(苦笑)
才能がないがゆえにビギナーズラックで大穴万馬券をとっちゃったって舞台ですよ
多分ブロックバスター映画だって、そういうたぐいだったのよ
所詮イモ役者!
評論すらしたくない・・・
って、悔しそうに褒めている・・・というニュアンス
つまるところ、この映画は、NYの舞台でカムバックしようともがく役者を描くつもりが
なんだか支離滅裂な妄想劇になっちゃて、
バードマン映画のシリーズ第四作でさっそうと銀幕に登場するヒーロー映画に変化したった
解釈です。
そう思えば、バードマンのさっそうと活躍するシーンは、なかなか見応えがある。
だから、この映画のタイトルは「バードマン」それだけ。
あるいはってことで、舞台の劇中劇を対等に扱おうっておもったが、
所詮は、読み飛ばす程度もものでしかないということを括弧で表現する。
閑話休題。
両方(更にTVや音楽)で活躍し、栄誉に輝けば「EGOT」と讃えられる。
両方(更にTVや音楽)で活躍し、栄誉に輝けば「EGOT」と讃えられる。
エミー賞、グラミー賞、オスカー、トニー賞の4つすべてを受賞した人を指していう言葉であるが、
歴代でたった十人内外(・・・だそうです。NETの引用)
リチャード・ロジャース
ヘレン・ヘイズ
リタ・モレノ
ジョン・ギールグッド
オードリー・ヘプバーン
マーヴィン・ハムリッシュ
ジョナサン・チューニック
メル・ブルックス
マイク・ニコルズ
ウーピー・ゴールドバーグ
スコット・ルーディン
なんか才人ばかりで、本当に映画史や演劇史に名を留める方は少ない。
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