2015年10月22日木曜日
「理想としてのEU」亡き後の地中海世界
ローマ帝国の再来を夢見たのかどうかは知らないが、時代はそう甘くなかった。
発展途上国家の財政を支える産業はありていに言えば「略奪」
国境を通過する「貨物」からピンハネする関税なる税金が、財政収入の太宗を占める国は少なくない。
資産や所得から税収を得るというのは、近代的な統治システムの裏打ちがいる。
手っ取り早いのは国境封鎖による通過手数料の収奪。
これも簡単なようでそれなりのノウハウが必要であり、経済協力の一環として数多の
税関の実務家が日本から諸外国に派遣されている。
しかし「徴税行為」が平和的且つ平穏理に行われるとは限らない。
通過する「貨物」と漠然というが、その中には「個人の生命身体財産」を含む場合もあり、
それらに対する侵害行為は通常「海賊行為」と言われる。
冒険商人や漁民と海賊の境界線は曖昧である。
手荒なことをせずに、それなりに儲けが出るのであれば、海賊の真似をするまでもない。
それは初期の「倭寇」なる存在がそうであった
ローマ帝国の内海といわれた地中海も、アラブと西洋との境界線となった時代は
サラセンの海賊行為が支配する世界であり、主たる交易商品は「ヒトザル」
奴隷として売り飛ばすこともあれば、金員と交換することもあり、
なんとも信じがたいことに、塩野女史によればアルジェリアが仏蘭西国の直轄県となるまで
この状況は続いたらしい・・・
その後リビアに狂犬と言われたカダフィ大佐が君臨していた当時、
シロッコが吹く時期はいいとしても、下手に航海中に遭難でもしようものなら、
あの千年におよぶ恐怖の海賊支配の時代を想起し、
慄いたものらしい(映画「流されて」にそういう台詞が出てくる)
地中海から中近東一帯の難民は、北を目指す。
南側の国々は同じ宗派の国家なのに非常に冷たいらしい。
北の国々が難民に「優しい」のかどうかはなんとも言えない。
少なくとも、独逸のように受入積極容認国もあれば、冷淡な国、さらには国境封鎖をする国まで・・・
EUとしての「統一も団結も、崇高な理念」も現実の前には混乱しか目につかない。
問題というか興味はそんな池水の波紋よりも水底に沈んでいく石の行方である。
難民の旅とは、苦難の道だろうが、それよりもなによりも無手活という訳にはいかない。
交通機関を利用するには運賃がかかるし、国境を越えるにはそれなりのフィーがいる。
手引してくれるナビゲーターへの謝礼なくして旅は続けられない。
持参できる金銭やスマホを持たない無産の民は、国境すら目指せない。
EU圏に押し寄せる千万人ともいわれる難民は、ある種のサービス財の消費者足りうるのである。
不幸にして残念なことに「消費者保護法制」なんか保護されることもなく、
ブローカーに法外な手数料をぼったくられ
命を全うして目的地に到着する約束もなく・・・
濡れ手で粟なのはならず者組織だけらしい。
ISとかマフィアがローリスク・ハイリターンで闊歩しているそうではないか
人身売買や拐取のようなコストがかかるビジネスなんかより絶対にこっちだし、
見ようによっては難民支援NPO(NPOは有償のサービスである)
欧州の良心を象徴するともいうべき行為・・・と賞賛の声(口先だけだとコストはかからない)が
世界中から巻き起こる一方で、ならず者国家や犯罪組織が太ってゆく現実は不条理でしかない。
今一つのシュールな「現実」
極東の島国の宰相がUNでの記者質問(9月30日)に答えたこと・・・
今回の「難民」に対する対応の問題であります。
これはまさに国際社会で連携して、取り組まなければならない課題であろうと思います。
人口問題として申し上げれば、我々は「移民」を受け入れる前に、
女性の活躍であり、高齢者の活躍であり、
出生率を上げていくにはまだまだ打つべき手がある。
毎度の駄弁は控えます(苦笑)
ただ、千億円程度の支援金を拠出することは表明しています(毎度の「カネ」だけって思われると悔しいが)
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