2018年4月16日月曜日

世界で一番受けたい授業





場所が確認出来ませんが、モスクワの遥か北方だかウクライナだか・・
なんにせよ厳寒時にはマイナス40度にもなる収容所
生き延びたのは僅か3パーセントに満たないらしい。
多分カティンの森で虐殺された数も算入していると思います。

ダッハウなんかと比較するものではないが、
収容されていた波蘭人は知的な上流・中産階級が多かったようです。

過酷な労働、粗末な食事、ロクな暖も照明のないなか(況んや図書室なんて)
彼等は交代で己の得意分野について記憶だけを頼りに
講座を開設した。
全体の規模感は不詳ですが、ある貴族階級の画家は
失われた時を求めて(プルースト作)について語った。
記憶違いも多く断章的で、批評とも論とも言い難いが、
限界の中で思索を記憶だけで積み重ねたものは尊いし、
余りに日常性から隔絶した風景には恭しい感動すら覚える。
けだしパンのみでいくるにあらず

40年代の始め、ポーランドでプルーストの知名度が如何なるものかは知らない。
仏蘭西文化圏であっても、内容に詳しいと言える層は
限定的だったと思われます。
興味あるテーマだけをつまみ食いする贅沢が許されず、
唯一の知的渇望を癒やす場であったことを思えば
世界一受けたい授業とはこれらを意味する。



よくある「無人島に持って行く一冊の云々」なることの
軽薄感を思い知らされます。
一冊の書籍をチョイスできる程度は稚戯に近い。
記憶だけで再現できるまで骨肉にしてこそ...
汗牛充棟の書庫なんて恥ずかしいことなのですよ。


今回のネタ本は

収容所のプルースト


タイトルだけで贖ってしまったが、外れではなかった(笑)


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